本所次郎さんが迫ったメディア支配を試みた一族の光と闇:『閨閥 マスコミを支配しようとした男』読了

小説家 本所次郎さんの『閨閥  マスコミを支配しようとした男』を読了。

昨年(2020年)視聴した堀江貴文さんの解説動画で

  買収に失敗した私が「フジテレビ」について解説します【第一弾】

本書の言及があり、発禁本とのことで入手難の中・・ 価格が下がってきた頃合いを見計らって手繰り寄せていた一冊。

誰しもが知る、その知られざる・・

巻末に

“(本作品はフィクションであり、実在の個人・団体などとは一切関係がありません)”(p289)

との注釈が記されているものの

” 買収資金は、運転資金の流用だった。そして鹿野は、無一文からフヨウ放送の株を一七%握り、筆頭株主に踊り出たのである。”(p64)

前段が頭に入っている人が読めば、容易に人物、背景が特定されてしまう書き様で(それが本書を表舞台から遠のかせたのでしょうが)

“「フヨウニッポングループは、水口成人と植村甲午郎がいてこそ、大きくなった会社だ。

それを鹿野信元が自分の会社にし、同族企業にように振る舞った。そして宏和君の代になって、閨閥を築いた。”(p240)

という(本書の記述に沿うと)鹿野家がフヨウニッポングループを支配しようと画策から

“「みんなで協力して、宏和の首をとりなさい」”(p211)

と足元救われる形で発せられた大号令の下、反対勢力の結集が図られクーデターを起こされ失脚を余儀なくなされるも、

社会の注目を一身に浴びた(これも読み解きが容易な)村田ファンドによる買収企てが図られるまで、それらの模様が生々しく描かれています。

高城剛さんの著書などで芸能界の闇の深さについて朧げに感じていたところ、

関係不可分なメディアの方も影響力が大きい分、本書を通じて闇の一端に光を当てられた思いで、ノンフィクションとして想像力働かせながら一気読みに近い形で読了に至りました。


Comments

comments