現役時代、広島東洋カープのエースとしてチームの黄金期を築いた北別府学さんの著書
『カープ魂 優勝するために必要なこと』を読了。
先日開催された北別府学さんのトークショー↑で販売でされ、購入していたもの。
昨年(2016年)、25年ぶりにセントラルリーグを制した広島東洋カープですが、本書が出版されたのは前年の2015年10月。
失われていた「カープ魂」の真髄
” なぜ、優勝できないのか?
その答えはカープファンならば、誰もが知りたいと思うだろう。
私は、「カープ魂」が失われてしまっているからだと考える。
そのカープ魂とは、セ・リーグ6球団の中で一番西にあって最も移動距離が長く、資金力も潤沢でない状況で、
選手たちが結束するためのアイデンティティ、すなわちチームに誇りを持って一丸となって優勝へ向かっていける強い志のことだと私は定義している。”(p5)
という大前提に、
” 優勝する時というのは大事な試合でなぜか勝てる。その理由として、「雰囲気」があるからだと思う。
チームが優勝するにはどうすればいいか。それは、何より個々人が自分の役割を分かっていること。
私の使命は、登板日はとにかく勝つこと。津田なら最終回を締める。高橋慶彦と山崎隆造は必ず塁に出て、山本浩二さんと衣笠さんが返す。
この形がしっかりと固まって、全員がこれを盛り上げる。”(p44)
という現役時代の振り返りから強さを紐解いたり、
” 私の場合、当時の古葉竹識監督がエースに据えようと辛抱強く使ってくれた。私も必死になってそれに応えようとした。
当然かもしれないが、やはり「期待に応える」、これがエースの第一条件ではないか。
私はその期待に応えて、4年目に17勝できたのは大きかった。そこから、視野も一気に広がった。”(p35)
というエースの哲学であったり。
特に印象的であったのは、プロの世界で生き抜くために
” 決して人生は思った通りにいくわけではありません。私の場合も20代後半からそう感じて、いわば投手としての生き方を変えたということです。
・・中略・・
私の血液型はO型だけど辞める時はA型になっていたんじゃないかと思ったほど。それくらい性格なり、ピッチングなりがものすごく変わりました。
・・中略・・
結果的に、当初思い描いたような投手像とは最後は違ってけれど、ある程度、実績は残せた。
これは自分の置かれた環境次第で変わっていかないと、結果は出せないと感じたからです。
そこで意固地になってもしょうがないと思った。その都度判断をして、自分が何が武器なのかをよく考えることが必要です。
これはビジネスの世界でも一緒でしょう。自分の性格を見極めて、どうすべきか考えることは大切。
そして、普段から真剣に取り組まないとここぞという時に力を発揮できません。”(p201)
とプロ野球界にドラフト1位で入るほどの実力を持ちながらも、環境、経験に合わせて大胆なまでに自分を作り変えていったということ。
広島東洋カープ エース北別府学のアングル
(広島東洋)カープの選手としての矜持にはじまり、本書独自企画の「第5章 評論家・北別府学さんが選ぶ 年代別名投手トップ5&ベストナイン」や
若い世代のカープファンとの座談会(第7章「これから社会へ出るキミたちへ〜野球、広島、職業を巡る座談会」)など、
現役通算213勝、広島東洋カープの黄金期をエースの立場で牽引した北別府学さんのアングルを通じて、
カープの選手であるということ、プロ野球選手として一流たり得た条件など、その様々に触れることの出来る一冊です。