古賀茂明さんが明かす、日本の「中枢」の実態と、日本が抱える深刻な問題:『国家の共謀』読了

先日、中間記↓をアップロードした

元通産官僚で、現在はコメンテーター等の立場で舌鋒鋭い発言をされている古賀茂明さんの『国家の共謀』を読了。

本の最後「あとがき」で

” 日本は今、確実に貧しくなりつつある。しかも、それほどの経済危機にありながら、安倍政権は、経済立国から軍事立国へと舵を切り、国民が遠い世界のものだと思っていた戦争に今にも突き進んで行く勢いだ。”(p284)

の部分がグサッと突き刺さってくるほどのインパクトで、

この一文が、本書を通じて古賀茂明さんが読者に最も言いたいことであったものと。

官僚経験から紐解かれる加計問題

本の興味深さというところでは、古賀茂明さんご自身の官僚時代と重ね合わせ、

例えば、

” 政治家や政党が特定の団体や企業に利益誘導する理由は、選挙での票とお金を得るためである。

官僚がその実現を手助けするのは、見返りとして省内での出世。さらには天下り先の拡大が期待できるからだ。

だから、エリート官僚は有力政治家の「ご意向」を忖度し、筋悪の「マル政(政治家絡み)案件」であってもそれを抱えて突き進む。”(p179)

といった具合(ストレート過ぎる物言いが、十分伝わると思います)、

官僚の特異体質を肌感覚で理解出来る古賀茂明さんが、加計学園問題などを推量を踏まえ読み解いていった「第四章  首相スキャンダルと政官の堕落」が秀逸で、

全285ページに及ぶ濃密なボリュームでありながら、さほど長さを感じることなく、

他で触れたことのない、独自、本質を捉えたであろう分析が、本書に触れての読み応えとして実感できました。

古賀茂明さんを突き動かす信念

本書で綴られていること、突きつけられている現実は、あくまでも重たいですが、そこは古賀茂明さんが

「改革はするが、戦争はしない」

を旗印に提唱されているフォーラム4について、最終(第六)章で言及され、

” フォーラム4の理念を共有する政治勢力が政権を担うようになれば、日本にも明るい未来の展望が開けてくる。

その道筋は決して平たんではないだろう。

挫折の連続かもしれない。それでも、私は、きっといつの日かその日が来ることを信じている。”(p282)

この一文に、古賀茂明さんが日ごろ覚悟を持って権力と対峙している姿勢が示されているものと。

同意できる箇所に、そうでないところと、考えさせながらの全285ページでしたが、示された在り方(解決策)に読者として救われる思い、また悲観論に終始せず希望を見出せたところです。


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