書店で小泉今日子さん本を探していた際に本書を見つけ、念の為サインを頂ける用に・・ といった思いから入手していた経緯。
本書は、
” 本を読むのは好きになったけれど、読書家と言えるほどたくさんの本を読んでいるわけでもないし、私が選ぶ本には節操がなく雑食的で漫画なんかも多く含まれているので『読売新聞』日曜日に掲載される書評欄の読書委員の話が来た時には正直なところ驚きと戸惑いしかなかった。”(p10)
という讀賣新聞に、2005年から2014年の掲載された書評が一冊にまとめられたもの。
内面も交え蓄積されていった数々の本
全部で97冊紹介されている中、読んだことのあった本は一冊もなく、最初はさらさらっと読み進めていった感じから
次第に、
” あなたの一番大切なものは何ですか? と訊かれたら、私は迷わず「記憶」と答える。私の心の中に詰まっている様々な記憶は過去からの優しい風のように、今の私を慰め、励まし、奮い立たせてくれる。良い事も、悪い事も全部が愛しい大切な思い出。私の記憶は私が私であることの証明みたいなものだ。”(p58)
と小泉今日子さんの内面を垣間見せられたかの一文に、
” 七つの寓話の動物達は、みんな誰かのことを思って生きている。その思いは、孤独の空しさを知った時に初めて大切に出来る事なのかもしれないと思った。
この本はきっと本棚を選ばないだろう。子供部屋から立派な書斎まで、どこに収まっても、どんな人が手に取っても素敵な一冊になると私は思う。”(p85/『頭のうちどころが悪かった熊の話』)
や
” これはホラー小説なのか? 怨念も心霊も超常現象も出てこないのに、本を読み始めてからずっと恐怖に付きまとわれている。でも、自分が何に怯えているのかよく分からない。恐怖の実態がつかめないまま私は物語の闇の中に引き込まれてゆく。”(p131/『アミダサマ』)
といった興味を掻き立てられるセンテンスを含む書評に、次第に付箋貼りをする箇所が増えていきました。
小泉今日子さんが書評に込めた覚悟
巻末の「読書委員の十年間を振り返って」と題された特別インタビューで
” ー 昨年までの十年間(二〇〇五年〜一四年)、読書委員を務めてくださって本当にありがとうございました。
本来二年任期のところを、余人をもって替え難い、ということで、五期も続けていただきました。”(p229)
とロングランになった好評ぶりもうかがえましたが、そこには
” 「アイドルだった私は、『この程度やれば十分』と言われることが多く、悔しかったんです。
本当はもっと頑張れるはずなのにって。だから今回は、村田さんがいいと言うまで、何度でも原稿を書き直します」。”(p231/註:村田さん=村田雅幸 読売新聞東京本社・文化部記者 & インタビュアー)
と要望、宣言していた伏線もあって取り組まれものでインタビュー中に発せられた(村田雅幸さんの)
” 小泉さんの三十八歳から四十八歳までの十年という長い時間が、ここにあるんだと分かります。”(p240)
なるコメントも理解できる重みも感じました。
突如、結ばれし線
と、先月(2022年4月)の ↓
に始まり、これで4つ目の小泉今日子さんに関わる記事となりましたが、
学生時代の文化祭に打たれていた始点が、長らくの空白を経て線になるような感覚を得られた期間にもなり、著書に、舞台に、またその線を伸ばしていきたい心情も。