小宮山悟さんに学ぶ、ずっと弱いチームにいたからわかった「最強チーム」のつくり方:『最強チームは掛け算でつくる』読了

千葉ロッテマリーンズ、MLB(メジャーリーグ・ベースボール)のNew York Mets:ニューヨーク・メッツなどで現役生活を送られ、

現在は解説者の立場でご活躍されている小宮山悟さんの『最強チームは掛け算でつくる』を読了。

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<< 2016年7月24日投稿:画像は記事にリンク >> 小宮山悟さんに学ぶ、ずっと弱いチームにいたからわかった「最強チーム」のつくり方:『最強チームは掛け算でつくる』中間記

中間記👆では第1章から第3章までを取り上げたので、今回は第4章から第8章までの間の内容で興味深かったところを取り上げたいと思います。

恩師 ボビー・バレンタイン

本の中盤以降は、勝てるチームのつくり方(第6章:日本代表編、第7章:高校野球編)など、各論に掘り下げられていった印象ですが

小宮山悟さんが現役生活で唯一頂点を極めた2005年シーズンの千葉ロッテマリーンズの指揮官であるボビー・バレンタイン監督に対する評価は必然的に高くなっており、

それは現役時代から

” 球団に勝つ気があるのならそれを示してほしい “と言い続け、「ボビーをもう一度呼びもどす気はないのか」と問いただした私は、99年のシーズン後に解雇されました。”(p117/括弧書き省略)

という経緯をお持ち。そこには確信もあり、

” 私は、昔から自分が主張していたことに球団が賛同してくれなかったから、長く低迷が続いたのだと考えています。

マリーンズが強くなるのは、ボビーが監督としてもどってきた04年。彼のプランを球団がバックアップするようになってからです。”(p117)

その頃にはチームに清水直行、渡辺俊介、小林宏之、久保康友、小林雅英などチームを支える戦力が台頭してきた背景もありますが

” ボビーは選手ひとりひとりの能力、性格を把握したうえで、周到に準備をしていました。

采配がズバズバ当たるので「ボビー・マジック」と騒がれましたが、すべては準備があったから。

マジックではありませんでした。

ボビーは打順や出場選手を、その日によって変えていました。相手のピッチャーとの相性や打線のバランスを考慮したうえで、あらゆる場面を想定して試合に臨みました。

もし、実際にプレーする選手が思うように動けなかったら、その時点で負けです。

ボビーは選手が動けるものと予測して、適材適所に配置する監督でした。

監督の力で、チームが変わることをボビーが教えてくれました。”(p121)

この時期に、小宮山悟さんが仮説として頭に描いていたことを(当時)ボビー・バレンタイン監督が実践して示し、

確信に至った内容が噛み砕かれて説明されているのが、本書であると思います。

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飛躍する人たち、超一流の人たちの考え方

最終章の「第8章 最強チームは掛け算でつくる」では、

” プロ野球でいろんな選手を見てきましたが、「なぜだろう?」という疑問や好奇心を持たない人間は絶対に伸びません。「不思議がる」ことが大切なのです。

疑問を解決するためにあれこれ考え、いろいろ試してみる。そういう気持ちがある人間は、あるとき飛躍的に伸びるはずです。”(p179)

” キャッチャーとして2000本安打を放った古田も研究熱心でした。バッティングフォームは改良に改良を重ね、いつも臨機応変に対応していました。

実績のある人は変えることを恐れるものですが、変化こそが進化への道だと彼は考えていたのではないでしょうか。

プロの世界でも超一流の人たちは自分で考え、自分で答えを探していました。

ぶれないことも大事ですが、常識にとらわれず新しいことに挑むこともまた大切なのです。”(p180-181)

といったマインドセットについても説かれ、プロ野球界に限定されず、また組織論にとどまらず個人でも応用出来る学びを得られます。

小宮山悟さんがユニフォームを脱がれたのが2009年。

その後、主たる活躍の舞台はプロ野球をはじめ、MLB、学生野球などの解説に移行していますが、

先々、指導者等で現場復帰された際、本書に書かれている内容をもとに理想のチーム(最強チーム)が築かれた時、本書が(必要に応じて増補版を通じて)凄みを帯びていくことになるでしょう。

 


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