久米宏さんが引き出した大御所たちの死生観:『久米宏対話集 最後の晩餐』読了

古書でサイン本入手機会に遭遇し、触手を伸ばしていた

購入本に書かれていたサイン

久米宏対話集 最後の晩餐』を読了。

昭和を彩った

本書は「ニュースステーション」内で不定期に放映されていた対談企画で、「そういえば、当時見たことあるような・・」と微かな記憶。

登場するのは

 大橋巨泉

 葉月里緒菜

 樹木希林

 ジャイアント馬場

 大石静

 ミヤコ蝶々

 いかりや長介

 内田春菊

 美輪明宏

の九名(敬称略)。

題名にある通り、登場するそれぞれの方に

” もし、明日、地球が滅びるとした、今夜、最後に何をお選びになりますか? “(p29)

と、会話の核心部分で最後の晩餐について訊ね、必然、前後の話題は死生観に及び

九名中四名の方が、他界されてしまっている現実から、この段階で読むと、(実際、どうだったのかな等)多分に感傷的に、、

当然、取材時(出版 1999年4月)はお元気であったことから、時間軸を考慮せねば現読み物として久米宏さんの引き出しが巧みで

” 久米 この寺(註:南麻布、光林寺)には「方丈」という額がかかっていますけれども、人間、横になる場所があれば、寒くないものを身にまとってれば、何もいらないという考え方になってくるんですかねえ。

樹木 そこですね、今回、「あなたが明日死ぬとなったらば、どんなものが食いたいですか」と言われたときに、私はね、明日死ぬんだったら、もう何も食べないと思ったんですよ。

明日死ぬことができるんならば、もう、食べる必要ないというのが答なんです。

明日死ねないから、食べる。食べるんならば、うまいものが食べたいと(笑)。”(p93-94)

と本筋に絡む話題もあれば、

” 久米 ・・中略・・ 強いてひと言ぐらいでまとめると、どんな人生だったんでしょうか。

馬場 いやあ、おもしろかったですよ。ほんとにおもしろかったなあ。今思えば、昔苦労したことなんか、みんな楽しくなってますからね。まあ、幸せだったなあと、今でも思いますねえ。

久米 そのときは、血がにじむような思いでやっていても、昔の苦労というのは、あとになると、どうして楽しくなるんでしょうね。”(p109)

と(亡くなられる二年前の)人生の振り返りに、

” 久米 バスに乗って、団体旅行に行って、飲み過ぎて、翌日「ああー」って亡くなっちゃったんですか。

いかりや そうなんですよ。向こうで大騒ぎして。もう、そういうところに行くと、ムードメーカーらしいんですよ。あちこちのおばあさんのお尻、触ったりなんかして(笑)。

久米 ムードメーカーって言うんですか、それ。”(p207)

亡き敬愛されたお父さまとの別れに・・ ゲストと距離感近しい楽しいトークが繰り広げられています ^^

全310ページありますが、最終頁読み終え「パチっ」と本を閉じた時の寂寥感のような感覚は、他の本で抱いたことのないもので印象的な読書となりました。


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