大下英治先生が描いた力道山の生涯:『力道山の真実』読了

先日、中間記↓をアップロードした

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大下英治先生の『力道山の真実』を読了。

プロレス界に止まることのなかった影響力

(中間記で触れた後の)本の中〜後半は、

力道山のキャリアを良くも悪くも大きく左右することになった「柔道の鬼」と称された木村政彦さんとの一戦に、

そこから命を狙われるようになったり、或いは極真空手創設者の故大山倍達館長に敵討ちを画策され、実に一年半に及んで付け狙われたり・・、

時代を背負って光を浴びた分、その裏側での陰の部分も色濃く伝わってきます。

また、日本国内でのプロレスリング発展、定着のためにさまざまな尽力する傍、先見の明があり、

“「これからは、レジャーの時代だ。ゴルフが流行るぞ、ゴルフ場をつくろうじゃないか」

まだ、一流企業の社長でも、ゴルフはかぎられた人しかやっていない時代であった。

が、そうと決めるや、相模湖に土地を買い、宍倉とやはり側近の長谷川秀雄に、ゴルフ場建設をまかせた。”(p323)

或いは

” 「いまにきっと、海外旅行ブームがくる。いちいち羽田でチェックインの作業をしていちゃ、追いつかなくなるぞ。世田谷の池尻に、千坪の土地があるんだ。

津村順天堂の土地で、買わないかといってきている。あそこにターミナルを建てたらどうだろうか。

あそこだと高速道路の入口もすぐだから、車で乗りつけてチェックインして、そのまま羽田に行って飛行機に乗れるようにすればいい。

車もどんどんふえてくるぞ。駐車場もこれから大変になるから、屋上に駐車場をつくろう。エレベーターを外につけて、車を運びあげるんだ」

・・中略・・

「いま考えてみると、力道山というひとは、とてつもない予言者だったんだなと思いますね。まさに力道山がいっていたことは、いまの箱崎ターミナルなんですよ。

箱崎はまさに、力道山がいったとおりの構想で生まれたんですからね」”(pp324)

と、プロレス界にとどまらない構想力と一部については実現させてしまう行動力の圧巻ぶりは、本書を読んで初めて知ったことで、力道山のイメージを凄みを伴って刷新させられました。

そのことと同じく印象的であったのは、プロレス界のためを思っての弟子として迎え入れ、鍛え上げた故ジャイアント馬場さんとアントニオ猪木さんに関するエピソードも豊富に綴られており、

両者のその後の活躍ぶりは周知のことで、人を見る目もあったことが、よく分かります。

力道山の人間性と、その生涯と

本では力道山がナイトクラブで発生したいざこざから斬りつけられ、最期を迎えることになってしまった瞬間まで描かれており、

一冊で十分、力道山の辿った生涯を知り、力道山が生きた時代を感じることが出来、

全388ページの中で、力道山の人間性が生々しく描かれ、厚みに見合う読み応えを得られました。


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