辻一弘さんが、アカデミー賞を受賞するまでの軌跡、貫かれた信条:『顔に魅せられた人生 特殊メイクから現代アートへ』読み始め

映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』で、

映画『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』予告編

日本人初のメイクアップ&ヘアスタイリング部門でアカデミー賞を受賞した

辻一弘さんの著書『顔に魅せられた人生  特殊メイクから現代アート』へで、全8章あるうちの最初の第1章を読み終えたので、そこまでのおさらい。

辻一弘さんはアカデミー賞 受賞直後のインタビューや、過去にオンエアされた番組(の再放送)で、

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哲学を持った生き方にアンテナが立ち、本作の出版を知り、飛びついた次第。

栄光と、人生を決定づけた瞬間と苦悩と

本はまず「プロローグ」に始まり、

” 呼ばれた瞬間は、意外にも冷静だった。すぐにステージに上がってスピーチを始めなければ、与えられた時間は40秒しかない。(以下省略)”(p16)

と、オスカー(アカデミー)受賞時の回想に始まり、第1章は「もの作りに明け暮れた幼少期」とのタイトルで、

” 子供心に、なぜ大人は心で思っていることと態度が違うのかが分からなかった。

それを必死で見抜こうと、日頃から大人の顔色を観察していたのが、今考えれば人間の顔への興味や観察眼へと繋がったのだと思う。”(p29)

と、本書のタイトルに絡む原体験であったり、

” ある日、『FANGORIA』というSF&ホラー雑誌を手にとって、何気なく開いたページに、目が釘付けになった。

そこには映画『ダーティー・ハリー 2』(1973年)などで有名になった俳優のハル・ホルブルックが、

特殊メイクによってリンカーン大統領に変身した写真が載っていた。

そのメイクの質の高さに驚いた。まさに社会の教科書で見たリンカーンそっくりで、メイクの跡も分からなかった。

・・中略・・

とにかく、その雑誌のページを開いた時に、何かが「繋がった」という感覚があった。

自分の興味をまさに実現した状態のものが、そこにあった。”(p41/p44)

と、高校生の時に辻一弘さんの人生を決定づけることになった瞬間、そして

” 買っていた洋雑誌に中に、ディック・スミス氏の私書箱の住所が載っているを見つけ、藁にもすがる思いで手紙を書いた。”(p46)

と、生涯の師と仰ぐ故ディック・スミス氏との出逢いに・・といったことが、本の序盤に描かれています。

内なる葛藤・・

但し、その裏側では、

” 子供の頃から良いものを作ってみんなを見返してやろうという気持ちはあったが、姉がかなり器用で、いつも姉と比べられていたので自分は褒められなかった。

姉は勉強もできて要領もよく、学校でも優等生だった。母はいつも「お姉ちゃんはできるのに、あんたはまだまだやなぁ」と言われていた。

そのうちに、自分が作った作品は人には見せたくなくなってしまった。

出来上がった喜びより、どうけなされるばかり心配するようになった。作った瞬間に言い訳を考えるようになった。

この癖はしばらく抜けることはなかった。これでは自尊心が育つわけがない。

いつも自信がなかったので、作る過程は楽しかったが、出来上がった結果に対する周りの意見が怖かった。

これは大人になって働くようになって苦労した。私の仕事では特に不利なことだった。”(p50)

と、ダークサイドへの言及もあり、

この後、どのようにして辻一弘さんが、無名の個人から一躍全世界的に脚光を浴びるまでのキャリアを築かれていくのか、

内なる戦いに、外側とのつながり、そのような視点でも楽しみです。


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