ジャーナリスト三宅勝久さんが、東証一部上場企業の闇に深く斬り込んだ
先月(2018年9月)、神保町の東京堂書店で開催された本書刊行記念的意味合いのトーク&サイン会で入手していた経緯に、
もとを辿ると、その昔、大東建託の名前に、その噂を時折耳にしていたことに端を発しての・・。
実態が明かされることのない闇
読んでいて「うーん、、」と、下へ更に下へ・・と突き落とされていく内容で、取り上げられる問題点は大きく以下の二点。
” ストレスと過労で病気になった者、家族が崩壊した者、自殺した者も多くいます。またノルマに追いつめられた結果、書類の偽造や受注金、契約金の立て替えなどの不正をやって、クビになった者もたくさんいる。
何千万円、何億円という借金をしてアパートやマンションを建築してくれた顧客様の担当社員や課長も退職に追い込まれて、顧客様を不安にさせています。”(p148)
と大東建託の企業体質に、
同社の社員が顧客とご家族をハンマーで激しく殴打し裁判になった事件の(判決翌日の)報道に関して
” 新聞各紙の記事をみると、すべて「大東建託」の名前が匿名になっていた。
大東建託のホームページを確かめたが、事件に関する記述は見当たらなかった。
城田氏(註:被告)の起こした事件は、徹頭徹尾城田氏個人の犯罪として裁かれた。
しかし、本質的には大東建託という問題企業が引き起こした事件というべきだろう。
そして、深刻な問題を抱えた企業であることが歴然としているにもかかわらず、黙認し、宣伝を流すという形で肩を貸してきた新聞やテレビなどの大マスメディア、是正に手をこまねいてきた国土交通省をはじめとする行政当局にも、責任の一端があるはずだ。”(p211)
気になる今後ときっかけと
本の最後で三宅勝久さんは、
” 「大東建託」になんらかの形で関わりを持ち、不安や心配を抱える方々にとって、本書がささやかながらでも役に立てば光栄である。”(p214)
との一文で締め括っておられます。
近江商人の心得を説いた「三方良し」なる広く知られた物言いがありますが、
起こってしまった不幸は不幸として取り返しのつかないことではありますが、
” 大東建託の株の大半は外資系ファンドの手に移った。”(p214)
との経緯に、
” 二〇一七年の春、大東建託の労働組合が結成された “(p139)
といった内側からの動きに、
刊行に前後しての反響も小さくないようで、本書がきっかけとなり、誤った方向をひた走っていたものの今後が正されていくようにと・・、せめて。