三菱UFJモルガン・スタンレー証券チーフエコノミストから内閣官房内閣審議官など政府で要職を務められ、経済に精通されている水野和夫さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』を
読み始めて全五章あるうちの第二章まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
2週間ほど前に読了した『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』
が学び多き一冊であったのと、これも先日読了した佐藤優先生の『世界史の極意』で
各章の終わりで紹介されている本紹介(■「資本主義」「帝国主義」を考えるための本)の中で、本書が取り上げられており、さっそく入手し、読み始めたという経緯。
資本家が誕生して以来の大転換期
第一章 資本主義の延命策でかえって苦しむアメリカ
第二章 新興国の近代化がもたらすパラドックス
第三章 日本の未来をつくる脱成長モデル
第四章 西欧の終焉
第五章 資本主義はいかにして終わるのか
という章立てをもとに構成され、第一章ではまず
” ▶︎ 経済成長という信仰
政界にしろ、ビジネス界にしろ、ほとんどの人々は「資本主義が終わる」、あるいは「近代が終わる」などとは夢にも思っていないようです。
その証拠に、アメリカをはじめどの先進国も経済成長をいまだ追い求め、企業は利潤を追求し続けています。”(p12)
という一文に始まり、程なく
” 資本主義が経てきた歴史的なプロセスをつぶさに検証すれば、成長が止まる時期が「目前」と言っていいほど近くまで迫っていることが明白にわかります。”(p13)
と資本主義の末路を明言し「利子率の異常な動き」を手始めに、論が展開されていっています。
第二章の結びは、
” もはや近代資本主義の土俵のうえで、覇権交替があるとは考えられません。次の覇権は、資本主義とは異なるシステムを構築した国が握ることになります。
そして、その可能性をもっとも秘めている国が近代のピークを極めて最先端を走る日本なのです。
しかし、日本は第三の矢である「成長戦略」をもっとも重視するアベノミクスに固執している限り、残念ながらそのチャンスを逃すことになりかねません。
近代システムが盤石であるという前提で日本の経済政策の舵が取られていること、そしてその誤りと危険性について、次章で説明していきたいと思います。”(p100-101)
と何とも(衆議院議員)選挙選突入のこのタイミング(公約で解が示されているのなら) 勉強するのなら「今でしょ!」的な巡り合わせも感じますが ^^
この期に経済に対する理解を深化させることに繋がれば意義ある読書だなと。
水野和夫さんの視点から学び取る時代認識
先に読了した『閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済』の出版が2017年5月で、本書は2014年3月と時期は遡りますが、
水野和夫さんの経済から捉えた時代認識、お考えといったことへのおさらいといった意味合いも兼ねられており、
学生時代から「経済」の名がついた講義には少なからず抵抗感を抱いていましたが、本書でそのようなアレルギーを呼び覚まされることなく、
快調に進んでいるペースを維持して、残り三章(&おわりに)、110ページ、より多くを学び取っていきたいと思います。