全日本選手権10回優勝、リオ五輪では男子団体銀メダルとともに日本史上初の男子シングルス銅メダル獲得など、日本の卓球界をリードする水谷隼選手の
『卓球王 水谷隼 終わりなき戦略 勝つための根拠と負ける理由』を読了。
サイン本販売情報⬇︎を見つけ、
反応、入手していた経緯。
強烈なる自負
はじめの編集人を務められた卓球王国発行人 今野昇さんの「まえがきに代えて ー 水谷隼という曲がりくねった男が吐き出す本」で
“「自分がいたから2008年から日本は世界選手権の団体メダルを獲得できた。いなかったらベスト8に入るのも難しかった」と言い切る。
「リオ五輪だって、ぼくがいたからメダルを獲れた」と言われれば、そのとおりだ。
彼がいなければ、リオ五輪での男子の2個のメダルは存在しなかった。このうえなく不遜な態度にも映るし、日本人が好む謙虚な言動を持たない。”(p023)
の一文に水谷隼選手の刷り込みが入り、本文に移行すると、
” 卓球というスポーツはミスをしなければ勝ちなのである。いくらヨーロッパの選手にパワーで勝てなくても、彼らよりミスがなく、相手より1本多く返せば勝てるのだ。”(p029)
と、卓球のそもそも論に、
” 卓球は記録を競い合う競技ではない。対人競技なのだから、「自分のやりたいこと=勝つためのやり方」ではない。
「勝つためのやり方=相手の得意を封じるやり方」なのである。”(p035)
とマインドの持ち方に、或いは
” 私は彼のYGサービスは回転量がすごいので出されるのは嫌だった。だからこそ、彼の1本目のYGサービスに全神経を注ぎ、レシーブをピタッと短く止めた。”(p037)
と私のような卓球初学者には?となるところも、専門用語も散見され、卓球に精通された方々に読み応えある内容であるものと。
その強靭なる覚悟
そのような中、読みどころは、例えば高校時代を振り返り、
” 青森山田は練習場での緊張感がすべてだった。怒られたり鉄拳を振るわれるのは誰もが嫌なので、その緊張感の中で手を抜いた練習はできなかった。
私は逆に「殴れるもんなら殴ってみろ」くらいの気持ちでやっていた。”(p082)
に、その後も
” ミスをしないことは選手である以上、当たり前のことだが、私自身は「この1本をミスすると、卓球が続けられなくなる」という気持ちで練習をしている。”(p090-091)
や根幹に根ざしていた
” 中学生でドイツ留学した時に、「自分は卓球で生きていく、人生をかけている」という意識をすでに持っていた。”(p186)
という強い心構えが貫かれ、数多く天才と評されてきたことが本文で言及されていますが、尋常ならざる努力が積み重ねられてのキャリア、偉業がよく伝わってきました。
卓球の魅力、奥深さを
卓球に関しては福原愛元選手の頃は偏った感じの注目の集まり方も、気づけば「いつの間に(こんなに強くなっていたんだ)?!」という感じ方をしていつつ
どうもポイントを取った時のアクション等、近寄り難い面も抱いていましたが、
” 相手との読み合いという点では、ここで相手は待たないだろうというところにボールを返して、そこで相手が待っていたら「うわ、面白い!」と感じる。”(p066)
をはじめ、卓球の面白さに、その舞台裏での取り組みに、また明治大学卒という共通項に親しみを持つことが出来、
水谷隼さんの矜恃に触れられたとの思いに、ちょっと世の卓球人気に乗りかかれたようなきっかけを得られた一冊でした。