村上世彰さんの著書『生涯投資家』刊行記念特別セミナーに参加。
一時、村上ファンドの固有名詞や堀江貴文さんと連日報道番組で取り上げられていた頃からバッシングに遭い・・
その後、しばらく村上(世彰)さんのお名前を耳にする機会もなくなっていたところ
新著の刊行を通じて、
久々表舞台に戻ってこられた感じで、今回のイベントを知り、稀有な機会かと興味を持ち、参加に至ったという経緯。
村上世彰さんのあの頃、そして今
定刻となり程なく開演となる現れたお姿はロマンスグレーの頭髪に髭もたくわえられ、あの頃の風貌と変わっていましたが
発せられる言葉の力、断定的な口調は村上世彰さんらしく。
但し、意外と本書を通じての読者からの反応は気にされているご様子で、Twitter等を通じて感想にはこまめに読まれているとのこと。
概ね好意的な反応にホッとされておられ、それは本書を書く段階で、ウソはやめ、本当のことを書くと決めて執筆に取り込んだことが奏功したのであろうと。
講演で取り上げられた話題の一部を箇条書きで記載すると・・
・世界で一番FX(外為証拠金取引)やっているのは日本で、(日本の)投資家心理が相場を動かしている。但し、98%は(手数料)負けしており、ロスカットで市場から退出している。
・期待値:宝くじ 0.3、公営ギャンブル 0.75、バカラ0.98などであるが、1.0を大きく上回るものでないと投資とは言えない。
・官僚を辞め1999年に独立し、自分と他人さまから預かった40億円弱の資金でファンド運用を開始。ファンド運用者ほどしんどいものはないが、2006年に辞めるまで、年平均20数%の拡大で、最終的には5,000億弱の規模まで拡大させた。
・3年間はNPO運営に専念し、その後、ギリシャ国債への投資や株取引を行うも、前者は損失を計上、後者はもう扱いをやめたとのこと。
・日本に関して・・ここまで人口が減る国の将来は厳しい。20、30年は国家として蓄えが大きいが、以降は道路、鉄道、水道管などの補修費をどうやって賄うか?など、官僚時代の見通しよりも悪化しているし、解決策が示せないところまできている。
・投資を行っている先はインドネシア、バングラディッシュ、ミャンマー、フィリピンの人口が増えている国の不動産など。日本の不動産も恐ろしく安く、数社、破綻に瀕した不動産会社を持っており、注目している。但し、東京(近郊)のみ。
「日本」への思い
などなど。当初、90分の予定であったと思われますが、参加者からの質問に一つ一つ丁寧に対応され、
終わりの時間を確認すれば、20:50。計110分に及ぶロングランでしたが、村上世彰さんの見立てが興味深く、長さを感じることはなく。
印象的であったのは、参加者の関心の多くが集中していたであろう現在のマーケットの読み方ではなく、、
講演時間が延長されることになった日本の現状、将来への憂いで、参加者に「これから日本に5,000万人が住むことになったら?」の問いに
殆ど挙手がなかったことに対して、大いに懸念を示され、もはや日本再生の道筋に示せる有効な選択肢は新たな日本人(外国人)の受け容れ以外ないと、、
活動拠点をシンガポールに移されながらも、官僚時代から日本の将来を憂う著書を上梓しようとしてお蔵入りとなるなど、
滾る思いを持ちながら、それが諦めに似た心情に至っている様子で、そこに凄い現実を見せられている思いを抱きました。