前回、読了記をアップロードした村上世彰さんの『いま君に伝えたいお金の話』と、
TVのニュース解説等、その分かりやすさが知れ渡る池上彰さんの『池上彰のはじめてのお金の教科書』
両新刊の刊行記念トーク&サイン会に参加。
村上世彰さんと池上彰さんを繋いだ「伝える力」
「お二人の接点は、一体どこにあるのだろう?」という感じですが、その辺りからお話しは始まり、
池上彰さんが、かつて(12、3年前)著書で村上世彰さんに対して「伝える力が足りない」といった指摘をされたことに対して
村上世彰さんが「どこが悪いのだろう?」と3年前くらいに池上彰さんのもとを訪ねたことをきっかけに
付き合いが始まり、(村上世彰さん曰く「可愛がっていただいている」)、昨年(2017年)出版され話題となった
村上世彰さんの回顧録とでも云うべき『生涯投資家』は、
池上彰さんから「自分の考えていることをしっかり書きなさい」との進言の元に上梓に至ったのだそうな。
幼少期から必要な「お金」について学ぶこと
お二人が時期を同じくして、子ども向けに「お金」の本を出すことになったのは、
『生涯投資家』出版後に、「次は子ども向けに・・」といったオファーがあり、
『いま君に伝えたいお金の話し』の後半でも警鐘が鳴らされていますが、若者が教育ローンなどで社会に出る前に借金を背負ってしまい、
社会に出始めでやり繰りに苦境を強いられたり、場合によっては自己破産に陥ってしまう現状に危機感を持たれ、
早くからの「お金」に対する教育の必要性を感じられたことに起因してのこと。
池上彰さんは「今、村上世彰さんも子ども向けにお金に関する書かれていますよ」といった誘い水(出版社は何れも幻冬舎)から、
今回のトークショーありきで(急いで)書き上げられた経緯もあったそうな。
「お金」を正視するところから
トークは約70分。池上彰さんが進行及び村上世彰さんに対する聞き手となり進められ、
主に村上世彰さんのお金に対する考え方に、過去を振り返って・・といった内容。
印象に残ったところでは、
株式市場は「安く買って、高く売ること」で利益を出すことを一般向けに開かれ、成立しているものの、
大量に買うと「買い占め」、50%以上だと「乗っ取り」と見なされてしまうという実態(=「お金」に対して負のイメージが付いてまわる)。
村上世彰さんのメッセージの骨格である「お金を回す(投資)」ということに関して、
池上彰さんが、投資についての格言?、
「投資とは経済における投票行為だ」といった引用があり、
自分が世に広めたい商品を出している会社があれば、投資を通じて応援する、といった意味合い。
財務諸表を読み込み、分析をしての投資となると、私を含め多くの人にとってハードルが高いと思われますが、
「(財政的に)許容できる範囲内で、始めてみることはありだなぁ」と。
なお、そのさじ加減に関して村上世彰さんは
” 落ち着いてきたら、僕は、たとえば稼いだお金の7割を生活費として使う。
1割を趣味や楽しみのために使う、2割を何かの時のための貯金をする、そのくらいのバランスがいいのではないかと思っています。”(p121-122)
と著書↑で述べられています。
コーポレート・ガバナンスに賭けた思い
所定時間キッカリで進行し切られた池上彰さんの見事さが印象的でしたが、意図されたものかどうか断定出来ませんが、
村上世彰さんが世間からバッシングを浴びたのは、金の亡者であったからではなく、
日本にコーポレート・ガバナンスを根付かせたいとの思い/ミッションがあってのことで、
これが、会見等で誤った形で世間に広まってしまったことに池上彰さんは真意を読み取り、今回のトークショーを含め助け舟を出されたものであったのではないかと・・(推量)。
この部分『いま君に伝えたいお金の話』では、
” 僕の大きな転機となったのは、「コーポレート・ガバナンス」という考え方を日本に浸透させる仕事の担当になったこと。
コーポレート・ガバナンスとは、日本語にすると「企業統治」といい、会社の経営がきちんとルールにのっとって行われているか、株主など会社に関わるすべての人にとって最善と思われる経営が行われているか、監視する仕組みのことです。
・・中略・・
「僕に何ができるだろう。何をすればいいんだろう」とずっと考えていたときに出会ったのが「コーポレート・ガバナンス」という考え方でした。
僕には、「コーポレート・ガバナンス」が行き届いた日本の社会が、ビジョンとして見えました。”(p110-111)
と、通産省勤務時代の一大転機として言及されており、思いの深さが伝わります。
なお、コーポーレート・ガバナンスの現状に関して、村上世彰さんは満足されているご様子で、「自分の役割は終わった」といった発言をされており、
時間はかかったものの成果は導かれ、現在は社会に正しくお金が行き渡る社会貢献に取り組まれている経過も理解出来ます。
村上世彰さんと池上彰さんのリアル
また、お二人に共通していたのは「欲がない」とのご発言で、村上世彰さんの方はギャップも感じられますが、
時計もしないし、車にこだわりはないし、本でも繰り返し述べられていますが、無駄遣いに対しての嫌悪感を示されています。
村上世彰さんは、既述のとおり現在、社会貢献活動、支援の枠組みづくりに尽力されており、
先の北海道胆振東部地震では地震が起きたのは夜中ながら、朝には広島から青森まで飛行機を飛ばし、
青森から北海道へはヘリコプターで支援物資の輸送を完結させたそうで、こちらも着実に実績を積まれているようです。
トーク後のサイン会では長蛇の列が出来、やがて私の順番となり・・
「去年の↑八重洲ブックセンター(の特別セミナー)も行きました。その時、サイン会はなかったので・・」
なんてお話しさせて頂けば、
村上世彰さん脇のスタッフの方から「そうなんです。今回、特別なんですよー」と、
前回ワンウェーであったところ、貴重な機会が設けられ、参加できたことに感謝 ^^
また、その時にお話しされていた内容を復唱すれば、村上世彰さんに「有難うございます。」と笑みでご反応頂くなど双方向な感じが嬉しかったです。
これは昨年の特別セミナーで感じていたことですが、マスコミを賑わせておられた時は、会見での様子が挑戦的、威圧的とも感じられましたが、
間近、或いは直に接すると親身に低姿勢、丁寧な応対で、多くの人は印象を覆されるものと思います。
村上世彰さんの下を訪ねる前は、池上彰さんに(貴重な機会だからと)急遽購入した図書を差し出し、
「いつも、朝、テレビ朝日でやっている短いニュース紹介(グッド!モーニング「ニュース大辞典」)、楽しみにしています。」と発すれば、
こちらも一度サインする手を止めて言葉数を惜しまず、ご対応頂くなど、想像の上をいく気さくさで、相当の余韻の良さに浸りながら帰路につくことが出来ました ^〜^/