TV番組等でお馴染み、脳科学者 中野信子さんの『科学がつきとめた 「運のいい人」』が、
第5章まであるうち第2章まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
運のいい人って、どんな人?
まず、本の最初で
” あなたが考える運のいい人とはどんな人でしょう。”(2% / 百分率は電子書籍のページ数、以下同様)
と読者への問いかけがあり、
” 人によってそのとらえ方はさまざまだと思いますが、科学的な観点から考えると「生き残ること」がひとつのキーワードといえます。”(2%)
ここで興味深いのが、2つの考え方があり、
” 生物学に「適者生存」という概念があります。適者生存はチャールズ・ダーウィンが進化論を築き上げる過程に影響を受けたとされる考え方で、「生物は環境にもっとも適した者が生き残る」というもの。
有名なたとえは「キリンの首」ですね。キリンの首はなぜ長いのか。
適者生存で考えると、首が長くなったほうが遠くまで見渡せて外敵から身を守れるし、高い木の葉っぱを食べやすくなるから。
キリンをとりまく環境がキリンの首を長くしたのだ、と考えます。
これとは対照的なのが「運者生存」の概念です。
運者生存とは、進化論の中立説で知られる考え方。文字どおり「運のいい者が生き残る」というものです。
運者生存で考えると、運よく生き残ったキリンの首がたまたま長かったのだ、となる。
・・中略・・
運者生存、要は「運がいい人とは生き残れる人なのだ」というと、結局自分には、何もできることはないのかと、呆然としてしまう人もいるかもしれません。
・・中略・・
しかし、私はそう思わないのです。
運・不運というのは、だれの身にも公平に起きていて、その運をどう生かすかを少なくとも人は主体的にかかわっていける、というのが私の考えです。”(2-4%)
ここで、運のいい人と、悪い人の定義があり・・
” 運がいい人というのは、だれにでも公平に降り注ぐ運をより多くキャッチできる人、また、より多くの不運を防げる人、あるいは不運を好運に変えられる人でしょう。
運が悪い人というのはこの逆で、運を逃しやすく、不運をつかんでしまう人、あるいは不運を好運に変えられない人、といえます。
また、運がいい人といわれる人たちをよく観察すると、共通の行動パターン、物事のとらえ方、考え方などが見えてきます。
つまり、運がいい人というのは「単に運に恵まれている」というわけではなく、運をつかみ、同時に不運を防ぐような行動、物事のとらえ方、考え方をしているのです(運の悪い人は、これとは逆の行動パターン、思考パターンをもっています)。
そしてその行動パターンや考え方が、なぜ運をつかみ、不運を防ぐことにつながるのか。そこを探っていくと、科学的説明がつく行動パターンや考え方が意外に多く出てきました。
そこで、この本では、これらをはじめ、今日からでもできる、運をよくするための行動や考え方を脳科学の知見をもとに解説していきます。”(7-8%)
本書の役割についても説明されています。
運は自分を大切にしている人に降り注がれる
第2章までで、印象に残ったところ2つ引用すると・・
” その人の運のよしあしは、周囲の人といかに良好な人間関係を築けるかということに大きく左右されますが、
自分を大切にしている人はほかの人からも大切にされるのです。
逆に、自分を粗末に扱っている人は、他人からも粗末に扱われるようになってしまうのです。
たとえば、あなたの目の前に2台の車があるとしましょう。1台はピカピカに磨かれた車で、もう1台は汚れていて車体に叩かれた跡がある状態です。
もしあなたが、「この2台の車のうち、どちらかを棒で思いきり叩いてください」と言われたら、あなたはどちらの車を叩くでしょうか。
おそらく多くの人が、汚れている車を選ぶと思います。
これは心理学の「割れ窓理論」(軽微な犯罪がやがて凶悪な犯罪を生み出すという理論)でもいわれていることですが、人にはある特定の秩序の乱れがあると、それに同調してしまうところがあります。
・・中略・・
自分を大切にしている人を粗末に扱うのは抵抗があります。
しかし自分で自分を粗末に扱っている人には、こちらも同じように粗末に扱ってもいいような気がしてくる。
身なりのきちんとした人には思わず敬語を使いたくなりますが、身なりにあまりに無頓着な人にはその気はなかなか起こりません。
つまり、ほかの人から大切に扱われるようにするには、そして、周囲の人と良好な人間関係を築くためには、まずは自分で自分を大切にする必要があるのです。”(17-18%)
この指摘、普段、自分で自分をどのように定義しているか?といったセルフイメージにも通じる内容と思いますが
斎藤一人さんの(天国言葉)ように、日頃から自分を肯定的に捉える習慣に、力づける言葉を唱えていることも良い方向に作用しますね。
しあわせのものさし
もう1つは・・
” 運のいい人は、必ず、自分なりの「しあわせのものさし」をもっています。
自分なりの「しあわせのものさし」をもつとは、どういう状態が自分は心地よいかを知っておくこと。
どういう状態に、自分はしあわせを感じるかを把握しておくことです。
・・中略・・
運を自分のものにするには、この自分なりの「しあわせのものさし」をもっておくことが大事なのです。
このとき気をつけるべきなのは、他人の尺度ではなく自分の尺度でしあわせ感を測ること。
一般的な価値観や他人の意見に惑わされず、自分の価値観で自分なりのしあわせを把握することが重要です。
・・中略・・
自分の脳がどう反応するかをきちんと見極めて、それに従って行動することです。
他人の尺度ではなく、自分の尺度で行動する。他人がどう思うかではなく、自分が心の底から「心地よい」「気持ちよい」と思える行動をするのです。
運のいい人というのはさらに、自分のものさしで測った自分が心地よい、気持ちよいと思える状態を積極的につくり出す努力をします。
では、なぜこのことが、運に結びつくのでしょうか。実は、「しあわせのものさし」にも人を呼び寄せる力があるのです。
人間の脳の中には、「快感」を感じる報酬系という回路があります。
これは、脳の中で比較的奥のほうにある回路で、外側視床下部、視床、内側前脳束、腹側中脳、尾状核といった、快感を生み出すのにかかわる部分の総称です。
この部分が刺激されると人は快感を感じます。食欲や性欲など本能的な欲求だけでなく、人助けなど社会的な行動も含め「自分が気持ちよい行動」をとると活動する部分です。
自分が心地よい、気持ちよいと思える状態を積極的につくり出している人は、常にこの報酬系を刺激していることになります。
・・中略・・
人がもっともしあわせを感じるのは、自分が心地よいと思える状態に心底ひたっているとき、といえます。
「もっとああしたい」「もっとこうなったらいいのに」という欲を忘れ、「ああ、気分がいいな」「気持ちがいいな」としか感じない瞬間です。
その瞬間には、「ああ、もう何もいらないな」とさえ思います。
つまり、常に快の状態をつくり出す努力をしている人(報酬系を刺激している人)というのは、心理学でいう自己一致の状態になるのです。
自己一致の状態とは、こうなったらいい、こうあるべきだと考えている理想の自分と実際の自分が一致していること、
あるがままの自分を自分で受け入れていること、もっと簡単にいえば、自分で自分のことが好きな状態です。
・・中略・・ 私はいまのままの私でいいんだ、と自分で認めている状態です。この自己一致の状態にある人は、人をひきつける力があります。
「もっとこうしたい」「もっとああしたい」といった、ある意味攻めの姿勢がまったくないので、一緒にいる人はとても楽なのです。
また、常に快の状態でいるので、一緒にいる人も快い気持ちになってくる。
さらに、自己一致の状態にある人は、人の話を素直に聞けるという特徴もあります。話している側の心が多少波立っても、それを吸収してしまう余裕をもっています。
こういう人が他人に好かれないわけはありません。
つまり、運がいい人というのは、自分なりの「しあわせのものさし」をもっている⇨
そのしあわせの状態を積極的につくり出す努力をしている⇨
自己一致の状態(自分を好きな状態)になる⇨人に好かれる、という図式が成り立ちます。”(18-20%)
運を味方につけるプロセス集
といった具合で、脳科学に裏付けされた、具体的なアプローチが本全編(187ページ)通じて紹介されているので
本を読み進めていくプロセスがとても心地良く、共感出来たところから1つ、2つと実践していくうち「変わっていくだろうなぁ」とワクワクさせられる感も強く、
上記引用で同様の感覚を得られた方は、実際に本書を手に取ってみられることをオススメします。
いいペースで読めていますので、来週前半には読了記をアップロードしたいと思います。