錦織一清さんが初めての著書に込めた舞台への想い:『錦織一清 演出論』読了

元少年隊 錦織一清さんが

” 若い人たちがこの本を読むことで、僕が数十年かかってしまったこと、それだけかかってようやく気付いたことというのを、せいぜい数か月か数週間くらいの短い期間で習得できるようにしてあげたいと思っているんです。”(p137)

というような思いから上梓された初の著書『錦織一清  演出論』を読了。

サイン本入荷/販売情報にいち早く反応し、

通過しようとした先の近くにタワーレコードがあったためタイミング良く入手叶ったサイン本

入手叶った一冊。

人生を決定づけた芝居の醍醐味

本を開いたところの「はじめに」で、錦織一清さんは

” 沢山の経験や出会いが、私に芝居を楽しいものと教えてくれ、今では演出家という仕事を与えてくれました。

いい歳になって未婚ではありますが、まるで娘や息子くらいの若者達とも、楽しく芝居を作れるのが、私の喜ばしきセカンダリー人生です。”(p9)

と出版に至ったバックグランドについて言及し、本編では

 第一幕 演出家としての生い立ち

 第二幕 錦織流  表現のメソッド

 第三幕 芝居に魅せられて

 戯曲 『サラリーマンナイトフィーバー』

の章立てに沿って、

” 永遠の師匠であるジャニーさんがすごかったのは、その人の魅力から絶対に目を離さなかったこと。「魅力のある人間じゃなきゃダメだ」と言って、そこから逃げなかった。そうやって、お客さんを呼べる「人気者」をどんどんつくり上げていったんです。”(p57)

という表現者としての礎となる軸から

” 舞台が始まってから終わるまでの2時間くらいというのは、僕にとって人生で一番の自由時間をもらっているとき、だって自分を偽らなくていいから。怒った感情も出せるし、人の顔色を伺わなくてもいい。その時間が一番自由。ちょっと逆説的ですけれどね。”(p84-85)

錦織一清さんにとっての舞台の醍醐味に、

” 芝居って、感情の動かし方と表現力だけなんです。それに僕の理論でいえば、役づくりをしなくちゃいけない役者をキャスティングしなければいいという話です。”(p87)

と本書の本筋的な内容に、全233ページ中p161以降は、 戯曲『サラリーマンナイトフィーバー』の脚本掲載であるため160ページの中にコンパクトに錦織一清さんの舞台、芝居への考え方、魅力が凝縮されています。

購入本に書かれていたサイン

人生を決めた2つの出会い

既述のジャニーさんとの出逢いに、

” 日生劇場や帝国劇場など、何本かの東宝舞台に出演していた頃、私はある人と、運命的な出会いをする事になります。

本編でも度々触れていますが、つかこうへいさんとの出会いです。

その類まれな演出方法に、日々苦しむ事となります。そこに今まで経験したことは全く無く、稽古場というより、そこはまるで何かの訓練場でした。

ここで詳しくは触れませんが、演劇人生に拍車が掛かったのは、いろんな雑誌のインタビューで述べている通りです。こうして今、こんな本を作れるのは、つかさんのお陰である事も間違いありません。”(p9)

と、出会いが大きく錦織一清さんを舞台、芝居に大きく引き寄せたことが分かり、半生記といった読み方も出来る著書でありました〜


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