西村賢太・著『蠕動で渉れ、汚泥の川を』刊行記念 (芥川賞作家)西村賢太 x 六角精児 トークショーに行ってきた

作品のほか、芥川賞受賞時の赤裸々な受け答えなどで注目を集めた作家の西村賢太さんの新刊『蠕動で渉れ、汚泥の川』刊行記念トークショーに行ってきました。

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場所は、お馴染みの八重洲ブックセンター

俳優で、西村賢太さんの作品の大ファンであるという六角精児さんとの対談形式。

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レアな対談に、90名程度の動員があった八重洲ブックセンターの会場

芥川賞、そしてその後

対談は終始、恐縮しておられる西村賢太さんを六角精児さんを励ますといった形で進行し、

西村賢太さんがお話しされたところによると、こういったトークショーで純文学分野の動員でワースト記録が8名であったそうで、

今回は90名近く来場があったのは六角精児さんのお陰であると。

これに対して六角精児さんは、こういった場に足を運ぶのはごく一部の人であって、足を運ばずとも、西村賢太さんの読者はたくさんいるといった返しなどから序盤の話題はスタート。

本作は、月刊文芸誌『すばる』の連載が、単行本化されたようですが、実は単行本化が危ぶまれる状況であったそうで、

実際、(本作の)出版部数は少ないそうな・・。

ご自身がゲラを読まれても「つまらない」と自虐的なコメントをされていましたが(笑)

『苦役列車』で芥川賞を獲っても、

その後は安泰というわけではないようで、この辺、プロとして或いは出版業界の厳しさが伝わってきました。

なお、昨年(2015年)芥川賞を受賞して話題を集めたタレントの又吉直樹さんについては、「何を出しても売れる段階」と、別格である模様。

似たような足跡を経ての・・

中盤から応酬というのか、内容がご両人のディープな世界に誘われていき・・

ご両人とも、宅配便の配送センターでバイト経験があるものの、1日と持たず、離職を余儀なくされたと・・

その他、転々としたアルバイト生活での悲哀であったり、家賃滞納時のエピソードであったり、

共通点も多いようで、それが六角精児さんが西村賢太さんの作品に傾倒している要因(描写されている世界が理解出来る)でもあるように受け止めました。

なお、対談時のやり取りからご両人によるかつての対談が出版化されている模様。

六角精児さんが紐解く西村文学

六角精児さんによると、西村賢太さんの文章はブルースであり、それが快楽の源になっている。

冒頭で、六角精児さんが西村賢太さんのファンである点を指摘しましたが、

西村賢太さんの作品しか読んでいない状況でもあるようで、トークショーの折々で、細かい場面を口頭で再現されているところに並々ならぬ思い入れを感じました。

また、トークショーの最後で設けられた参加者との質疑応答で、そのうちのお一方から「作家として身を立てた」コツを問われ

例えば私小説なら、それを毎日読んでいるうちに、書くときに自然に表現出来るようになる

といった趣旨の回答をされ、実践された方の言葉であるだけに重みを伴って伝わってきました。

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イベント対象書籍の『蠕動で渉れ、汚泥の川を』

六角精児さんの軌跡

六角精児さんは『相棒』をはじめとする役者人生に、バンド活動に、トホホな感じで語れられていたプライベートのお話しなど。

既述の家賃滞納話しや依存症と分析されていたご自身のギャンブルなどに関して話しが及び、これら負の面を

「つらさは宝」との人生観を示され、

西村賢太さんから

「いいこと言うなぁ」と共感を得ていました。

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直に感じる西村賢太 & 六角精児

対談50分程度、質疑応答10分程度の後は、休憩を挟んでのご両人登壇によるサイン会。

西村さんは一人一人に、「どうもすみません、お待たせしました」と声掛けされる腰の低さで、

私はサインを書いて頂いている間、

「以前、石原慎太郎さんとTVに出演されてましたよね。やっぱり実際怖い方なんですか」と問えば

「いえ、***けど、怖くないですよ」と、伏字箇所はご想像にお任せしますが(笑)

ちょっとしたやり取りを通じ、文学会で秀でた足跡を残されている方ながら身近に感じることが出来ました。

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頂戴した本イベント限定?の連名によるサイン

続いての六角精児さんには、

「高田文夫さんが、最近、出された本で六角精児さんのことを絶賛(人生の授業料の払い方がハンパじゃない etc)されていたので、今日楽しみに来ました」と発すれば・・

「え、そうなんですか?」と、本についてご存知なかった模様。

「ライヴをご覧になられて、あゞ、TVに出たくねぇなぁ と歌っておられたのが印象的であったみたいです。TV出たくないんですか?」と問えば

「あっ、1回見に来てくれたんですよね。嬉しかったなぁ」と、後段のTVに関しては「何もしないで過ごしていたい」とのこと。

会話のやり取りの一字一句、正確ではありませんが、この場ならでは束の間の交流で、また印象的な機会でした。

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イベント(トークシ & サイン会)終了後に、六角精児さんと

西村賢太さんは、お名前だけ知っていた程度、本作で初めてこれから西村文学に触れることになります。

また、六角精児さんも私は『相棒』ウォッチャーではないため、高田文夫さん評のみを頼りにしての来場でしたが、

著書も出ているようなので、今回を良き契機として、お二人の世界観に浸ってみたいと思います。

 


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