『苦役列車』で芥川賞を受賞された西村賢太さんの『夜更けの川に落葉は流れて』を読了。
今年(2018年)1月、大雪に見舞われた日に八重洲ブックセンターで開催されたイベントで、
(イベント参加はしておらずも)後日、店置き用に書かれたと思わしきサイン本を見つけて入手していたもの。
先日読了した『蠕動で渉れ、汚泥の川を』は全248ページながら展開されるストーリーに惹きつけられ読み易かったですが、
本書は三話収録で全181ページという構成に、それぞれの話しの面白さもあり、ペース良く読了に至りました。
北町貫多の⤴️から⤵️への軌跡 x3
最初の「寿司乞食」は、
築地市場で憧れを抱いていた主人公 北町貫多が、
” こんなラクな仕事で日当をもらえることが申し訳なくなるような、実に得難い感じのバイトである。・・中略・・当分はこの店での勤めを何があっても死守する決意を、また改めて固めてしまうのである。”(p19)
と、日雇い労働をはじめとして職を転々する履歴を辿ってきた中で、理想の職場に巡り合ったかの展開も、
初日の業務後に開かれた歓迎会で訪れた衝撃の展開、、
続いては本のタイトルにもなっている「夜更けの川に落葉は流れて」は
北町貫多史上最長の女性との付き合いが、一冊のレア本入手未遂からこじれて・・
最後の「青痰麺」は、足繁く通ったラーメン店で起きた不快な出来事に始まった客(北町貫多)と店主との十五、六年に及んだ因縁/確執・・
といった粗すじ。
北町貫多で振り返る西村賢太さんの若かりし日々
それぞれご経験に基づいたお話し(完全再現?)であろうかと思いますが、ダークサイドに落ちた時の感情の
ときに「その気持ち(何となく)分かるなぁ」といった具合で、ときに北町貫多に感情移入しながら
三話それぞれで繰り広げられたトホホ、、な起承転結を楽しまさせて頂くことが出来ました。