先日、読み始め記をアップロードした
西村賢太さんの『蠕動で渉れ、汚泥の川を』読了.-
購入から、実際に本を読み始めるのに時間を要したのは、難解なタイトルに一因があったように思いますが、
実際に読み始めると、見慣れない表現はあるものの、分かりやすい文章に舞台設定で
話しに引き込まれたこともあり、思いのほか、早いペースで読了に至りました。
本を読み進めている最中、wikipediaで西村賢太さんについて調べた際、記載されていた「私小説」って何だろう?と調べたところ
” 作者自身を主人公とし,その直接的な生活体験や心境に取材した小説。”(百科事典マイペディア)
とあり、「この生々しさは、やっぱり西村賢太さんの過去に関連したものだったかぁー」と。
自堕落な性格から、アルバイト先の屋根裏部屋に住み込みで働くようになった主人公の貫多、
そこで繰り広げられる人間模様に、鬱屈する感情に、暴走する若さに・・ ほろ苦い結末を迎えることになりますが、
二四八頁に及ぶ中学卒業後の貫多が迎えた(アルバイト先の)食堂での日々、
西村賢太さんの文章力の高さから、しばし昭和的な風情に、鬱屈した感情に、どんよりさ、これらが相俟った感情を引っ張り出されたのが、余韻として残された一作でした。