お笑いコンビ NON STYLE 石田明さんの『答え合わせ』を先週末の広島往訪時の復路の新幹線で読了。
お笑い分析本ということで興味を持ち、
サイン本販売情報に反応し入手していた著書。
タイトルに込められた思いは、
” 漫才師になってからは同期や先輩の漫才を見て、つまらない自分がどうすれば人を笑わせることができるのかを徹底的に考え抜きました。「なぜウケるのか」「なぜウケないのか」と考えては、劇場で試してみて、お客さんの反応を見る。考えては確認、考えては確認、という繰り返しでした。
・・中略・・
この本は僕の今現在の「答え合わせの書」です。漫才師やお笑い芸人のみならず、漫才が好きな人たち、お笑いに興味がある人たち、あとは劇場で大笑いしながらメモを取っていた当時の石田少年に届けたい。そんな思いを込めて書きました。”(p6/p7)
というもの。
本編の記述によると石田明さんはナインティナイン岡村隆史さんの番組内で石田教授と呼ばれるほど分析で評価を得ているそう。
内容は、
” 漫才の基本は「偶然の立ち話」です。
ある2人がたまたま会ってしゃべり始める。片方が変なことを言って、もう片方が突っ込む。それがどんどん繰り返される。”(p18-19)
に、漫才、漫才コント、コント漫才の違い等、いろはのいに始まり、
” ボールを息で吹いて浮き上がらせるパイプの形のおもちゃがありますよね? 漫才の掛け合いは、いってみれば、あのボールをずっと落とさないで互いにパスし続けるようなものです。”(p33)
という技術論が明瞭平易に紐解かれていたり、
” 劇場では、とにかく一般の方の笑いをとれれば正解。でもM-1では芸人に認められないと勝てません。第一線にいる芸人たち、面白い芸人たちに、いかに認めてもらうかという、めちゃくちゃシビアな大会がM-1なんです。
じゃあ「M-1らしさ」とは何かといったら、僕は「真新しさ」と「面白さ」がうまい具合にねじれたときに出てくるものと捉えています。”(p125)
なる結成15年以下の芸人の強烈な磁場となっている本書の軸の一つであるM-1グランプリについてや
“「意見」があるやつは、なんか尖ってる、なんか面白い。そう気づいて以来、目にするものすべてに「意見」を持とうと努めてきました。”(p177)
自身を
” 僕はずっと、自分のことを「つまらない人間」やと思ってきました。その思いは爆笑オンエアバトルでチャンピオンになったときも、2008年にM-1を優勝したときも変わることなく、芸歴20年を超えた今でも持ち続けています。”(p3)
と捉えている石田明さんがお笑いで突き抜けるに至った取組みなど、
1章 「漫才か、漫才じゃないか」への回答【漫才論】
2章 「競技化」で漫才はどう変わったか?【M-1論】
3章 「お笑いの得点化」という無理難題に挑む【採点論】
4章 路上から王者へ、挫折からの下剋上【コンビ論】
5章 漫才、芸人、お笑いの明日はどうなる?【未来論】
の章立てに沿いお笑いについて多角的に切り込まれており、読みやすさもあり読み始めから一気に読了に至りました。
だから笑いが起こるの考察本x3
前回アップロードした
令和ロマン高比良くるまさんの『漫才過剰考察』と比較すると、石田明さんが吉本興業による養成所NSCで講師を努められているだけにお笑い初学者でも分かりやすいように書かれており、
昨年読んだ
ナイツ塙宣之さんの『言い訳』と合わせ計3冊、お笑い界を牽引される立場の方々による興味深いお笑い考察本であるように。