落合陽一さんの『日本進化論』を読了。
” いまやグローバルな組織や先進的な国家では、社会問題を解決するにあたって、まず最初に「テクノロジーをいかに活用するか」を考えるのが当たり前になっています。
場合によっては、人にテクノロジーをよりそわせるのではなく、テクノロジーに人を合わせるような解決策もとられています。
しかし、日本ではそうした発想がなかなか浸透せず、その結果、技術的にも実績的にも世界から遅れをとっているように思います。”(p17)
という前段を受け、
序章 テクノロジーと日本の課題を探る
第1章 「働く」ことへの価値観を変えよう
第2章 超高齢社会をテクノロジーで解決する
第3章 孤立化した子育てから脱却するために
第4章 今の教育は、生きていくために大事なことを教えているか?
第5章 本当に日本の財源は足りないのか
第6章 人生100年時代の「スポーツ」の役割とは?
という章立てのもと、
落合陽一さんの他、各分野の専門家の登場に発言が引用され、日本が直面している課題の処方箋について論じられています。
人口減少を好機と捉える
例えば、序盤の落合陽一さんと小泉進次郎衆議院議員の対談では
” 落合 日本はこれからどんどん人口が減っていくので、技術により省人化するのは好都合ともいえる。
むしろ、機械に任せられる仕事はどんどん任せていかないと、人手不足になってしまいます。ポジティブな撤退で強くなれるはずなんです。”(p31)
或いは教育(第4章)に関して
” 現状でベストなのは、大学入試が終わった瞬間に、それまでやってきた勉強についての価値観をすベて忘れてしまうことです。
つまり「学び方」のアンラーニングが必要になる。もちろん、暗記した九九や方程式はすべて正しいし、「枕草子」を暗唱できることが後に役に立つこともあるでしょう。
それでも、与えられた問題の答えを導き出せればそれでよかった大学入試までの勉強スタイルは、すべて間違いだったとアナウンスすることが最善ではないかと思うのです。
もちろん、この方法論は対処療法的であることは否めません。”(p156)
また、スポーツ(第6章)に関して
” 日本ではランニングやウォーキングといった、個人単位で行なう運動が盛んですが、公共的なスポーツ施設で、交流のための場が用意されれば、人間関係の横の広がりが期待できます。
スポーツコミュニティへの参加は運動を継続するモチベーションにもなりますし、相互補助的なセーフティネットとしての役割を担う可能性も期待できます。”(p216)
といった具合。
テクノロジーで切り拓く近未来
(2018年1月)月初、参加したトークイベントで本書について紹介があり、
その後も書店のスイートスポットで目にし続けたことから手に取った経緯でしたが、
具体的にテクノロジーに切れ込むのではなく、データ等から課題抽出して解決策が語られるという流れで、
全239ページにまとめられ、読みやすく一日で一挙読了まで。単に問題が指摘されるのではなく、道筋が示されていることで
思考のリセットに、未来から差し込む光に、前向きな心情に至らせてくれます。