政治経済の分野でノンフィクション作品を数多手がける作家 大下英治先生の新著『幹事長秘録』を読み始めて
全349ページあるうちの半分程度、145ページまで(第三章 平成の”喧嘩師”幹事長列伝)を読み終えたので、そこまでのおさらい。
内側から描く凄腕幹事長の実像
冒頭(「はじめに」で)、
” 長年、永田町の「巨魁」たちの激しい権力闘争と生身の人間像を垣間見てきた筆者が受けた感慨からすると、実力派の凄腕幹事長には二つのタイプがあるように思われる。
一つは、「ナンバー2でありながら総理総裁を脅かす存在」であり、これは明らかに次の宰相を目指す意思と企図をもって行動する。
自由民主党が結党された五十五年体制後、じつに二十四名の総理総裁のうち半数にあたる十二名が幹事長経験者であることからもわかるように、与党「幹事長」は、宰相への最短ポストである。
・・中略・・
もう一つの幹事長タイプには、「宰相を目指さず、黒子の参謀に徹し実験を握る」巨魁も永田町には存在する。”(p3/5)
という前段を受けて、
” 衆議院最多当選十七回を誇る小沢一郎が永田町で見てきたなかで「至高の幹事長」は果たして誰か。
「一人挙げるとすれば、それは田中角栄先生です。田中先生が一番だ。かつて自民党では、「大蔵大臣と党幹事長を経験しないと、総理への道はない」と言われた。確かにそうかもしれない。
ただ、田中先生は僕にこう言ったことがある。『与党の政治家としての最高のポジションは幹事長だ』『与党の幹事長が最高の地位』だと。『総理だ』とは言わなかった。
そういう意味でも最高の幹事長は田中先生だろう。
・・中略・・
田中先生が優れている点はまず人柄です。幹事長としては人の世話を焼くのを厭わない。気配りや配慮もあった。人を束ねていくうえで、こうした点は基本ですね。」”(p15-16)
と一昨年(2016年)、角栄本に代表されるブームにもなった田中角栄元首相であったり、
“「小沢さん自身、わかっているかどうか知らないが、あなたの欠点は情に流されてしまうところだ。
若いころから、グラッとくるところがあったからね。いま、あなたは絶対に情に流されまいと構えている。
冷静に公平に判断しようとしているから、世間からは冷たい人間だと映るんだ。
もう少し、ちゃらんぽらんでいいんじゃない。自然体でいいと思うよ。多少は情に流されてもいいし、流されたふりをしてもいいんだ」”(p109-110)
という(元労働大臣)山口敏夫さんの小沢一郎さん評であったり、(日本)政治史で重要な役割を果たしてきた
幹事長の仕事に、職に当たってきた人物評が濃密に語られています。
むき出しの感情の衝突・・
最初は349ページの厚みに尻込みするところがあったものの、一旦読み始めると
ページをめくっていくペースが思いのほか早く、1日+αで50%程度のところまで。
権力をめぐって繰り広げられる人間の業というのか、むき出しの感情の衝突が興味深く
中、後半で紐解かれる人間劇も楽しみです。