新装改訂版『ヒモトレ』を上梓された小関アスリートバランス研究所の小関勲先生と、
古武術及び身体技法に関する研究で著書を多数出版されている松聲館 甲野善紀先生が登壇された
「ヒモ一本で始まる、カラダ革命!」と題された講演会に参加。
講演に実演が加わる説得力
50名限定で、開催1週間前には満席となる人気ぶりでしたが、
会は講演に留まらず、参加者各自にヒモが配布され、
適宜、実演を交えて進行されていきました。
小関勲先生がスライドを活用されるなど講演をリードされ、甲野善紀先生がフォローされたり、独自の研究内容に踏み込まれたり。
書き取った範囲で印象に残ったところでは、ヒモを(両膝、腹など)身体に装着するだけで可動域に変化がみられること。
特定の場所の緊張が解かれるなどの効果によるものだそうですが、「ヒモ一本だけで、即座に実感出来る違いがあるのかー」とちょっとした発見でした。
さまざまな実演が行われましたが、即席に行われたものでも参加者から感嘆の声が上がるなど、
ヒモの使い方であったり、身体の特徴、使い方を心得ているだけで、身体の反応に歴然とした違いが見られ、生の場だからこその醍醐味がありました。
身体が自然に動く感覚
甲野善紀先生からのお話しで印象的であったのは、
体操NHK杯で八連覇の偉業を達成した内村航平選手は、競技に臨むにあたって一切の準備運動を行わないとのこと。
競技で細かい動きを求められるところ、準備運動で、それらと異なる動きが生じることを避けている意味合いがあるそうな。
大事な動作というのは物心がつく前から会得している感覚であり、
内村航平選手の場合、幼少の頃、疲れ果てて寝るまで宙返りに没頭していた経験があり、その頃に会得した感覚が体内に沁み込まれいるのだと。
甲野善紀先生の見解では、頭(大脳)が発達してくると、身体の感覚が消えるデメリットがあるとのこと。
また、今の人に対して「心構えはあるけど身体構えがない」というご意見も、今回の講演会での実演を通じて実感出来たことでした。
小関勲先生のお話しで印象に残っているところでは、「筋トレでつけなきゃいけない筋肉って、普段、使っていないよね」との指摘。
私個人が知る限りでも、プロ野球界を含めスポーツ選手で筋トレ全盛の印象ですが、
それによって上半身と下半身のバランスが崩れてしまったり、競技に不必要な筋肉の発達によってパフォーマンスが落ちるなどのアスリートが散見され、
周囲に流されず、常識を疑う姿勢に、まず何より身体の特性を理解することの重要性を感じました。
講演後の直の交流
約1時間半に及ぶ講演会が終わり、両先生によるサイン会。
両先生ともイベント概要に盛り込まれていなかった写真撮影を、私からのリクエストに応じてご快諾頂くなど、
ちょっとした交流も楽しい、この機会でした。
もともとは書店で、しばし甲野善紀先生の著作を見かけていた事に興味を持って参加した講演会でしたが、
身近にあるものを活用(なお、ヒモにも良し悪し有り)して、自分の身体が本来持っている感覚を呼び覚ますことを出来ることの学びに、
健康に関する両専門家(先生)との交流機会に、楽しく為になるひと時を過ごすことが出来ました。