山根明日本ボクシング連盟前会長が振り返ったバッシングの裏側とこれまでの生涯:『男山根「無冠の帝王」半世紀』読了

山根明日本ボクシング連盟前会長の『男 山根 「無冠の帝王」半世紀』を読了。

昨年(2018年)、突如といった感じで社会、マスコミを騒然とさせた騒動、事件をつぶさにフォローしていたわけではないですが、「結局、なんだったんだろう?」といった思いから購入。

本を読むと

マスコミが取り上げた時点で、善悪の構図が確立されていて、

山根明さん側の言い分をまともに聞き入れる環境にはなかったであろう状況に

急激な状況の変化に、四苦八苦されていた様子も読み取れます。

一連の、ご本人はバッシングと称されていますが、経験を踏まえ

” 命をかけて守ってきたはずの日本のアマチュアボクシング界にとって、一番の「癌」は私だったという。

ショックなどというものではない。気がつけば、私は「裸の王様」になってしまっていたのだ。”(p4)

” 気がつけば、私の知らないところに、「もう一人の私」が作り上げられ、本物の私はというと、裸の王様のように、踊らされてしまっていたのかもしれない。”(p256)

というように反省もされていて、

” あれから半年が経ち、そろそろ「時事ネタ」ではない、私の声にゆっくり耳を傾けてもらえるのではないかと思う。”(p54)

と、嵐が過ぎ去ったから今だからこそご本人が出版という形で口を開いたことの意義もあるでしょう。

山根明さんが辿った容易ならざる軌跡

本書は

 第1章 告発

 第2章 密航

 第3章 墜落

 第4章 耽溺

 第5章 栄華

という目次立てのもと、

騒動、事件について山根明さん側の言い分に、山根明さんの壮絶な生い立ち(ex. 在日韓国人、4回の結婚)に、

ボクシング連盟との交わり、そこから会長まで階段を駆け上がっていくさまなどが描かれています。

一つ「そういうものかなぁ」と思わされたことに

” 世界レベルになると、理事以上の人間はだいたい50〜60代の、金も権力も持った実業家ばかりだ。

血の気も多く、必ずしも「表舞台でのみ」活躍している人ばかりではない。

日本のような教員中心の組織とはわけが違っていた。

・・中略・・

実際、この頃の日本はあまりに政治力が弱く、試合の場でもしばしば、それが弱みとなった。

判定に不服があっても、裏で金や権力の駆け引きがなされていれば、それは覆らない。”(p207-208)

と批判の対象となったセコンド問題に関しての舞台裏が明かされ、とかく判定に疑問視されることが少なくない競技での特殊性は「やっぱり、あるんだろうな」と。

逆境 x 出逢い から・・

本書の帯にビートたけしさんの

「ただの面白いオヤジじゃないね。生きるアウトレイジだよ!」

とのコメントが寄せられていますが ^^

騒動の最中、囁かれた裏の交際に関するアンダーグラウンドな世界の描写もあったり

賛否は分かれるでしょうが、

逆境に屈することなく、出逢いに導かれ運命の旅をしながら、刻まれた山根明さんの生きざまに触れることの出来る一冊です。


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