神田昌典さんが教えてくれた「起業の本質」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その参

 

連日、表参道に行って、神田昌典さんの「ビジネスプロトタイピング講座」に参加。

>> 近藤太香巳さんが教えてくれた今、小さな事で活躍している事の大切さ:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その弐 <<

今までの2回は2時間+α(懇親会等)でしたが、今回は11:00〜18:00過ぎまでの長丁場。

神田さんの講演は「いまのビジネスは世界を挑発するモデルをつくれ!」と題され、最も楽しみな日でありました。

自ずと家を出る時間が早まり、開場時刻を若干過ぎた頃にACTION CENTERに到着すれば、神田さんが板書に没頭されている最中。

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最前列で空いた場所を目指せば、神田さん目と目が合い、自然な流れ挨拶を済ませ、着席。

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Ustream配信も行なわれたのでACTION CENTER内には複数のカメラが

考えるより、動き出す事

前日の近藤太香巳社長の「情報が多いと動けなる」の引用から始まり

プールで泳ぎ方を覚える際、いくら泳ぎの手順を覚えても水の中に入って泳いでみない事にははじまらないのは、起業についても一緒だと。

ここから話しは一気に、神田さんの学生時代にワープして、上智大学の頃「社会に出て何をすれば良いのか」分からない状態で、

外国に行かせてくれるとの理由から、半年間、図書館にこもって外務省試験の勉強をして、3年生の時に合格。

但し、入省後に外交の役割を論文で求められ、「意義なし」と回答して不合格とされたり、通訳の試験は話しにならない点数で不合格にされたり等、

一見、上智大学→外務省と輝かしいキャリアと思っていましたが、モラトリアム世代と称された将来、何をやっていいのか分からない状況での苦悩が聞け、イメージとのギャップがありました。

知識との出逢い、人からの教え

もともと外国に行かせてくれるとの動機で入省していた事と、周りで上級職で合格された方の仕事を見ていて

長く勤務される意思はなく、アメリカでMBAを取るなどして、民間の世界へ。

役人上がりで、営業等の経験はないことから転職に苦戦したり、早々にリストラの危機に直面したり。

海外の家電メーカーで苦労して販売した冷蔵庫の利益と、ふと事務所に飛び込んで来た無料で配られるとの携帯電話のキックバックの値段が同程度である事や

出張中に視界に飛び込んで来たダイレクトマーケティング、マインドマップ、フォトリーディングとの出会いに衝撃があり

「自分の人生を築く出逢いは、一瞬のように築かれる事」を認識。

その中でも、ダイレクトマーケティングの自分から営業を仕掛けるスタイルではなく、(自分の)商品が欲しいと思わせる人を集める手法、視点の切り替えは大きな出会いとなる事に。

そこで得られた知識を、勤務先にバレない形で小予算で実験を開始。1台も売れないなどの試みがあったものの、失敗の度に新しい出会いがあった。

知識との出会いを学びに止めず、実践に移されたところに、神田昌典ブランドの始まりが垣間見えました。

この段階で神田さんが学ばれた事に、「知識を見付ける前に動き出す」、インド人同僚からの「(理屈はいいんだ)キャッシュフローを作れ」との教えが胸に刻まれた。

具体的には今日の1万円を翌日10,100円にする感覚。キャッシュが入っても、ロゴを作ったり、名刺を作ったりする事にお金を回してはいけない。

起業とは、少しでも自分の器にお金が入ってくる場所、仕組みを作る事。

「粗利 x リピート」の絶対性

ここから、ビジネスの本質への切れ込みがあり、

「粗利 x リピート」の公式がとても大事で、殆どの起業家が失敗するのは粗利が低過ぎる。多くの人は仕入れると粗利を30%程度するが、最低でも60〜70%、本来は80〜90%は欲しい。

・粗利はどれ位取れるか?

・リピートするのか?

この二つの問い掛けは、とても大切。これを踏まえ1,000人の顧客がいれば、大概のビジネスは回るとの事。

起業家を感じ、感覚を馴染ませる

また、起業をする上で大事な事は、実際に起業をしている人と一緒にいる事。

神田さん流の表現では、起業してヘラヘラしている人を回りにおいて、セルフイメージを上げる。(笑)こんな事でも起業出来るんだといった感覚。

例えば観光バスの中古車販売のサイトを作ったりなど、手段は様々。

起業のために上る「3つのハシゴ」、起業の本質

起業には3つのプロセスがあり、まず「生活」するため。次に「地域」のため、そして「上場」。

地域、上場は社会性を帯びますが「上場」に関してはメリット、デメリットが様々存在するため、選択的となる。

ステージも「EGO(欲)」「SOUL(内面の充実)」「SELF(自分自身)」と3つに分かれ、男性は「EGO」から入る事が多く、女性は「SOUL」、40代から入る事が多い。

ここに今回のポイントがあって、始められるなら「SELF」から。

この事が分かっていれば、楽。その他、起業に関するインフラ的な機能は、無料(若しくはそれに近い状態)で備わっている。

人を集めようとすれば、分単位で優秀な人材を探すサービスは提供されているし

お金を集めると、それに見合う人が集まって来る。

その上でダークサイドに落ちない信用を身につけている事が大事。

起業とは、つまり自分自身が何者であるかを見付け出す事。

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約140分を経ての板書

真横で神田さんを体感

と、このような内容で神田さんのパートで2時間20分程度。午後は神田さんの全能思考ことフューチャーマッピングで

ライヴ講義参加者24名で共通したビジネスモデルを作ろうとの試み。実際、自分が発言した内容が板書されると俄然、当事者意識が高まりました。

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約240分を経て形作られたFuture Mapping

で、この後、懇親会。約20名の参加者に神田さんが含まれ、左横のポジションをがっちりキープ(笑)

「多くの人はお金は努力しないと稼げないと思い込んでいるが、神田さん曰くお金は想像の産物に過ぎない」と。

であるとか、神田さんが捉える中国でのビジネスの仕方(/日本国内で稼ぐ事は至難な時代)など、この場で3時間。

自分の日常を切り離す、感覚を書き換えていくには絶好の場であったと言えますが、(神田さん/成功者の真横で3時間)よく頑張りました(笑)

いつもはどんなに疲れても、ブログ書く気力は残っているものですが、金曜、土曜は帰宅するなり、寝落ちしてしまう感じで、自分にとって、雲の上の世界を間近で体感する尊き2日間の通過点でありました。

 

近藤太香巳さんが教えてくれた今、小さな事で活躍している事の大切さ:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その弐

 

神田昌典さんが、最初で最後、起業家育成を手掛けるプログラムの「ビジネスプロトタイピング講座」の第2回講座に参加。

今回は、株式会社ネクシィーズの近藤太香巳社長の登壇。近藤社長の講演は4月のセミナーズ・フェスタ以来、2度目。

近藤社長の最も人数を集めて行なった講演がセミナーズフェスタでの約6,000名で、最小が今回の30名程度。

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この距離感で体感した近藤社長の情熱

ビジネスプロトタイピング講座の初回は・・

>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<

2,000名規模のオンラインでのUstream受講者が居たものの、今回は非公開。

「無料で聴講出来ますよ」と情報を流して自分としては冷や汗ものの、史上最年少で上場を果たした起業家の話しを体感出来る稀少な機会。

今と大きく異なる時代背景

近藤社長が起業したのは若干19歳。当時はべンチャー、アントレプレナーといった言葉はなく、

「この若造に何が出来る」と門前払いされるのが常であったそうな。

良かったのは、情報が無かった時代なので考えながら動いた事。

近藤社長が起業志望者向けに講演される機会は多いものの、経営者になる人が少ないのは、今の時代、情報に溢れていて考え過ぎて行動出来ていないと。

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経団連を超える経営者交流会 “Passion Leaders”を主催。会費月額1万円

超一流と一流を分ける僅かな心掛け

近藤社長が定義する仕事は想像と工夫だとして、以下のレベルに分類される。

三流・・・期待されない人

二流・・・期待されても出来なかった人

一流・・・期待に応えた人

超一流・・・期待を上回った人

一流と超一流の間はミリの差だとして、なり方は難しくない。

例えば文章を読むにしても熟読に熟読を重ね、句読点の打ち方であったり、図表への挿入であったり、目の前のものをピカピカに磨き上げる人が超一流。

近藤社長は社会に出て、上記、時代背景もあり、超一流を目指さないと相手してもらえなかった。

とにかく大事な事は、毎日、これがベストか?これがベストか?と問い続け、今、出来る事の最善を尽くす事。

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近藤太香巳の処世術

近藤社長は創業から上場に至るまで、その間には上場取消などの辛酸を舐めながらも

華麗なビジネスキャリアを築かれていますが、その分、人脈も多方面に広がり

その中で、お聞き出来た処世術に好きな人、大切な人には徹底的にゴマをすれというもの。

例えば石原元東京都知事から突然のヨットの誘いを受け、二つ返事で快諾。二人でクルージングに出た際、

急な誘いで、いろいろ事情/用事があったであろうにもかかわらず、何も言わずに駆けつけてくれた事に、「だからお前は信用出来る」と褒められたりといったエピソードが紹介され

ご自身の経験で、好きな人と関係を深めていって仕事などで上手くいったケースは数知れぬも、逆に「嫌だな」と思いながら打算的に付き合った結果、上手くいった事は一度もなかったとの振り返り。

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未来は分からない。大切なのは「今」。

普段からマイナスの事は言わない心掛けをしているものの、思わず口からこぼれてしまった時には「うそうそ」と言って即座に取消し、運が逃げないように配慮。

嫌な事があったら作文する事を習慣にして、5行も書いているうちに思考が前向きなものに変わっていくようになる。

未来の事は分からないし、どうでも良い。大事なのは、今。今、小さな事で活躍している事が、これからの大きな事につながる。

暇な人ほど悩んでいるとして、一生懸命頑張り続けていると人間力は勝手についてきて、頑張る事で夢はどんどん膨らんでいく。

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常にアンテナを立て、考える習慣

企画という事に関して話しがあり、無から有を生み出す発明を想像しがちであるが、自分(近藤社長)はコレとコレを組み合わせたら面白い事を見付ける発見家である。

街中でいろいろなコピーを見て、それが生まれた背景を想像したり、自分が政治家だったら、どういう風に喋るかといった事を常に考えている。

逆境は力に

創業の地、香川県高松市から東京に進出したもののビジネスパートナーに騙され、大阪から上京した父親に里帰りを勧められるものの

東京で再起を誓い、渋谷駅で涙ながらに別れた父親に大声で叫んだ事で、覚悟が芽生えた。

ITバブルが弾け、上場取消、世の中が騒然となり、銀行が総撤退の動きを見せ、一気に倒産の危機に直面するも

社員が取ってくれたファイティング・ポーズに鼓舞され、SBIの現北尾会長に融資を申し出たところ15分で30億円の支援を得る。これは後に300億円にして還元したとの事。

孫正義が拡げてくれた器

後に孫正義さんと事業を共にする事があり、近藤社長が目一杯の見込み値を告げたところ「一桁足りない」と返され、それは途方もない数字であったそうで・・ 孫さんのスケールを実感。

後に、孫さんの求めていた数値を達成することになり、頑張れば頑張るほど凄い人に出逢える縁に恵まれ、こういった人たちが背伸びさせてくれる事を実感。

裏返すと、こういった出逢いに恵まれないと自分の枠は広がらない。

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リーダーとして背負った宿命

ピンチとチャンスは常に隣り合わせ、ピンチの時は社員にその状況を共有する事が大事だが、必ず解決策を提示する事が大事。

そしてリーダーは奇跡を起こす。

その裏側では、今でも月に5〜10日は誘眠剤の力を借りないと寝れない日があるそうな。

小さな凄い事の積み重ねが大河に

講演は、近藤社長が指摘されていた通り、4月に耳にしていた内容と骨子は一緒でしたが間近で聴いて伝わる人間性に思い。

よく「試練は乗り越えられる人のために与えられる」といったことが言われますが、近藤社長流に表現すると「人は絶望を希望に変えられる」。

これでも、まだ自分の能力30〜40%しか発揮出来ていないと振り返られ、何よりの自慢は社員との関係。

毎年、ご自身の誕生日は盛大に祝ってもられるとの事。昨年は社員から集められたお金で、数百万円のジェットスキーがプレゼントされたとの事。

別の場所で聞いた話しでは、東証一部上場の社長ながら、社員一人一人に誕生日のメールを欠かさないとか。

帰り際、一旦退場しかけ、聴講者一人一人と握手にしに戻ってきた姿に

起業後の実績は超一流の領域ですが、裏側には精緻な気配りが行き届いての事を実感させられました。

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講演の場、表参道のACTION CENTER

 

田原総一朗さんが起業家から引き出す「正解のない時代」の考え方:『起業のリアル』読了

田原総一朗さんの『起業のリアル』を読了。

>> 田原総一朗さんがLINEやスタートトゥデイから起業家の成功に迫る対談集:『起業のリアル』中間記 <<

後半に登場する起業家は

リブセンス 村上社長 // テラモーターズ 徳重社長 // innovation 岡崎社長 // リビング・イン・ピース 慎代表 // ティーチ・フォー・ジャパン 松田代表 // ベレフェクト 太田代表 // ディー・エヌ・エー 守安社長 // サイバーエージェント 藤田社長 // 特別対談:堀江貴文

といった目次立て。

正解のない時代の課題設定

この中で印象的であったのは、田原さんとティーチ・フォー・ジャパン松田代表のやり取りで

田原:いまの学校の一番の欠陥は、正解のある問題の解き方した教えないことですよ。見えない社会で必要なのは、むしろ正解のない問題に対応する力、

もっといえば問題そのものを見つける力です。そういう意味では課題解決より課題設定でしょう。

松田:おっしゃる通りで、私も課題解決と同時に課題を発見していく力は必要だと考えています。

田原:これは日本の昔からの課題ですよ。僕は日本の教育について、宮沢喜一や橋本龍太郎といった歴代首相と議論したことがある。

そのとき彼らがいっていたのは、国際会議で欧米の大臣は積極的に発言するけど、それと比べて日本の総理や財務大臣は発言が少ないということ。

なぜ発言しないのかというと、間違いを恐れているからです。日本の教育は正解のある問題ばかり解かせてきたから、口をつぐんでしまうのです。そのあたりはどう思う?

松田:日本とアメリカの両方で高等教育を受けたので、その差は肌で感じています。日本だと、教室は理論を教えてもらうところですよね。

一方、アメリカでは毎週、授業を受ける前に五00ページ分くらいの論文の束を渡されて、理論を頭に叩き込んでこいといわれます。

授業は理論を使って議論する場所。それぞれが自分の意見をぶつけ合うということが非常に重視されていました。(71%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

この主張は前回の引用と同様、またしても先週受講した藤原和博さんの主張と一致する内容です。

>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<

藤原さんの論旨は、” 正解をいち早く言い当てる力 ” が、学校教育で今も昔も重視されているが、今の時代は

情報編集力 : 自分の考えを他人と触れさせ、修正していく力、「正解主義」→「修正主義」が求められているとおっしゃってました。

この部分、徳重社長も類する事に言及されており

” 向こう(アメリカ)では頭のいい人ほどクレイジーで、大きなことをぶちあげるんです。一方、日本は頭のいい人ほどロジカルで、大きなことをいわない。だから優秀な人がベンチャーに流れてこない。” (53%)

頭の中が「正解」を追い求めていたり、そこに縛られている限り、本来、備わっている力を引き出す事は導けない事を意味するのかもしれません。

Questions and Answers signpost

ポスト・ホリエモン時代の感覚

その他では・・

村上社長:” 不便や問題を解決するのがビジネスの基本です。” (48%)

慎代表:” 努力は根底に自分を愛せる心がないとできないと思います。” (66%)

” 相手から感謝されるかどうかを気にしていたら、自分が正しいと思ったことができなくなる。

誰も評価してくれなくても、自分がやりたいと思ったことや、いいと思ったことをとことんやる。そう心がけています。” (68%)

田原: “巨万の富を得られる力を持ちながら、それを社会のために使うというのは、いまの若い世代を象徴する働き方の一つだと思う。” (69%)

といったところに刺さりが。

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従来型日本企業からポスト・ホリエモン型へ

本の最後では田原さんが「あとがき」で、(従来型の)日本企業が如何に競争力を失ったかについて分析がなされていて

” 僕(田原)は要因が二つあると思う。一つは、よく言われているように、競争相手が増えたということだ。かつては価格の安さと品質の良さがメイド・イン・ジャパンの売りだったが、

韓国や台湾、中国といった国々が品質の良いものを日本企業より安い価格でつくるようになった。

もう一つ、日本的経営が負の要因になったことも大きいだろう。日本的経営は、終身雇用、年功序列で、社員の面倒を一生見ていく。

マルクスは労働者を商品でなく人間として扱うべきと説いたが、日本企業は社員を家族として面倒を見た。

大企業になると、企業年金にとどまらず、社宅や保養所まで、本当に手厚い福利厚生があった。企業が家族的な経営をしてきた背景は二つある。

一つは、高度成長で企業に余裕があったこと。もう一つは、労働組合への対抗だ。

日本の労働組合は、戦前は共産党系が、戦後は社会党系が強かった。そのため企業は、社会主義や共産主義の組合が理想とする社会より、

資本主義社会のほうが豊かで安心できることを社員に示す必要があった。

つまり企業は、労働組合に社員を奪われまいとして福利厚生に力を入れたわけだ。

これは非常にうまくいった。家族的経営のおかげで社員は愛社精神を持ち、多少の無理もいとわず会社のために働いた。だから日本企業は世界で勝つことができた。

ところが、冷戦が終わって、潮目が変わった。共産主義・社会主義国が瓦解すると、労働組合もイデオロギー的基盤を失って弱体かした。

そうなると、企業は労働組合とはりあう必要がなくなり、株主の利益を増やすことばかり考えるようになる。

社員は代替可能な部品に過ぎず、賃金はできるだけ安いほうがいいと経営者が考えるようになったのも、おそらくこのころからだ。

冷戦の終結によって、企業が日本的経営によって社員をつなぎとめる必然性が薄れ、それまで隠れていた資本主義の本質がむきだしになっていったのだ。” (97-98%)

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時代に感覚を馴染ませてくれる一冊

この本では新しい企業体の担い手、最後で衰退の一途を辿る従来型の企業体について言及され

それを読めば時代は移ろい、進んだ時計の針が元に戻る事はないであろう事は容易に想像出来るわけで

読み手の頭の中の時代認識を再認識させ、上手に時代の感覚を取り込んでいる人たちの共通点などに光があてられ

ご自身は自伝(下記)等で生涯を振り返る限り、ディレクターとの立場を強く自認されているようですが、ジャーナリスト田原総一郎の真骨頂が伝わってくる一冊でありました。

SILVER GINGER 5 ほかシルバーウィーク期間中、シルバーに絡めて3曲

 

とタイトルに書いてみたは良いが、シルバーウィークって、まだ存在していて且つ一般的呼称なんでしょうかな。

自分の周囲では若干名、この期間中に長期休暇を取得している人がいて、密かに定着していると思っているのですが、さて。

それでは本編・・

 

まず、The WiLDHEARTSのGinger(現 GiNGER WiLDHEART)が、Silver Ginger 5として発表したアルバム”Black Leather Mojo”から。

” Divine Infection “

この名称、本作で1回限りで、プロジェクト名に思い入れがあるのか、やっつけであったのか(笑)

サウンドの方は、そんな疑念を吹き飛ばしてしまうくらい Gingerのソングライティングのセンス溢れるさすがのクオリティです。

>>  GINGER WILDHEARTで来日中のGINGERと果たせた3年越しの思い <<

 

続いて、Guitaristの名前がSilver。

” My Good Reputation “

この曲が収録されているアルバム(HARDCORE SUPERSTAR)のツアー終了から、やがてメンタルな面で脱退してしまう事に。

メンバーチェンジによりバンドの代表曲である” We Don’t Celebrate Sundays “のライヴでのアレンジが変わってしまった、なんて事もありSilver在籍時が懐かしくあったり。

何より、ブラックアルバムと称される”HARDCORE SUPERSTAR “の完成度の高さに圧倒されます。

 

最後はU2の名盤 “Rattle And Hum”から。

” Silver And Gold “

自分がU2と深く関わっていく事(アメリカにライヴを観に行ったり)になった思い出深いアルバムながら

この曲自体に全く思い入れはなく、「 Silver/シルバー の入った曲名?」と脳内でサーチをかけ浮かび上がってくるあたり

何が頭の中に入っているのか、自分でも不思議なところです(笑)

U2といえば、iTunesのアカウント向けにニュー・アルバムの” Songs of Innocence”が先着5億人に無料配信の話題に驚かされました。

自分の場合、DL(ダウンロード)したところで安心してしまい、まだ聴き込めてないですが・・

U2のアルバムがタダなら、他のアーティストの値段が俎上に載せられる面有り

音楽業界がどのように変わっていきますやら。METALLICAも比較的、この手に手法に熱心な印象から、ビジネスの在り様が大きく変わっていく契機になっていきそうな。

田原総一朗さんがLINEやスタートトゥデイから起業家の成功に迫る対談集:『起業のリアル』中間記

 

田原総一朗さんの『起業のリアル』を読み始め、半分あたりのところまで。

ポスト・ホリエモンの起業家に共通する点とは?

ジャーナリスト田原総一朗さんと若手起業家の対談集。登場する起業家は田原さんが定義する「ポスト・ホリエモン」と称する堀江貴文さんの後の世代で

” おとなたちを挑発するような荒々しさはない。乱暴な言葉遣いはしないし、物腰もやわらかだ。

また堀江の時代の起業家は、いきなり自分で会社をつくってベンチャービジネスをやった。一方、ポスト・ホリエモン世代は、まず企業に就職する。

その会社で一生を終えようと考えているわけではない。サラリーマンをしているあいだにビジネスのノウハウや生きるための知恵を身につけ、そのうえで独立して事業を起こす。じつに堅実だ。” (1%/百分率は紙の本でいうところのページ数に相当/以下同様)

と分析。また

” ROE(株主資本利益率)よりソーシャルインパクトを重視していることも、ポスト・ホリエモン世代の特徴だ。彼らは自分が儲けることより、新しい事業で社会を変えることに喜びを見出しているという。” (1%)

近年の起業家の傾向が異なってきている点を指摘。本の前半に登場する起業家は

LINE 森川社長 //  スタートトゥデイ 前澤社長 // チームラボ代表 猪子代表 // ユーグレナ 出雲社長 // フローレンス 駒崎代表 // マザーハウス 山口社長 // e-エデュケーション 税所代表 // ライフネット 岩瀬社長

以下、個人で刺さりのあった箇所から引用すると・・

 

「とにかくシンプルに、ユーザーが求めるものをつくり続けるだけ」by  LINE 森川亮社長

LINE は、主としてスマートフォンでスタンプ等を使いコミュニケーションを取るものとして爆発的に人気を博しているアプリ。

” 商品開発には二つの方向があります。一つはグーグルさんのように、人が欲しがるのかわからないけど、エンジニアがおもしろがってつくったものをとにかく世に出して、その中で当たったものをビジネス化していくやり方。

もう一つはアップルさんのように、人が求めるものを突き詰めて考えて、一個に絞り出すやり方です。” (4%)

LINE創業の背景・・

” 水のようなサービスをつくりたかったのです。水って要らない人がいないですよね。スマホにおける水は、コミュニケーションです。その分野でトップになろうと試行錯誤しているうちに生まれたのがLINEでした。” (5%)

興味深いのは、同社で・・

” 会議も仕様書も、事業計画もない。”

という実態。厳密には事業計画はあるそうですが、

” 計画があると、つくり手は計画通りやろうとします。たとえば三ヵ月の計画が二ヵ月でできたら、もうちょっと何かやろうという話しになるし、

逆に本当はもっとかかりそうだったら、何か削ってしまおうとしてしまう。でも、それはユーザーにとって無意味なこと。

一番大事なものはいいものを早く出すことなので、つくり手もそれに集中してもらったほうがいいですよね。” (6%)

同社の隆盛は・・

” 結果的に収益が出たというところ ” (6%)

だそうで、

” とにかくシンプルに、ユーザーが求めるものをつくり続けるだけです。” (7%)

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田原さんが、森川社長との対談を終え・・

” 「企業が収益化を考えると、ユーザーはそれに気づいて離れていく。だからいま(LINE社は)広告はやっていない」と言う。

こうした姿勢がユーザーを惹きつけ、結果的に収益の増大につながっている。儲けようとしないほうが、かえって儲かる。それがいまのビジネスのトレンドなのだろう。” (8%)

と総括。多くの方が独自性を感じる経営スタイルと思いますが、結果が出ているだけに、新しい経営の在り様となるかもしれないですね。

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その中でもユーザー目線、スピード重視は特徴的です。

因みに、同社の収益は

” ゲームやスタンプといったコンテンツの売り上げが大きいです。” との事。(7%)

 

「僕の幸せの大部分は、人の幸せが占めています。」by スタートトゥデイ前澤友作社長

スタートトゥデイ(日本最大級のファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営)の前澤社長は・・

” 「争うのは嫌い」” (9%)

との肌感覚から

” うち(スタートトゥデイ)の基本給とボーナスは、全従業員一律。成果報酬にして、仲間同士で競い合うより、楽しく働けますから。・・中略・・

いまは、競争するより協調したほうが、「経済合理性」がある。競争によって刺激されなくても、みんなお客様にとって便利なもの、新しいものを自発的に生み出すマインドになっている気がします。」” (13%)

前澤社長の哲学は

” 僕の幸せの大部分は、人の幸せが占めています。じゃあ、どうやってまわりの従業員やスタッフ、その先のお客様や取引先、株主のを楽しませたり驚かせたりすることができるのか。

それを考えてやってきたら結果的に儲かっていたという感覚 ” (13%)

収益に目的とせず、結果的に収益が出たとの経緯は、LINEの森川社長と共通した流れですね。

因みに同社では

” 一二の五月から、九時出社で午後三時に終わる「六時間労働制」を始めました。仕事は短時間で集中して終わらせて、もっとよそで学んだり、遊んだほうがいい。” (11%)

との経営判断。「よく遊ぶが良い」との指摘は、先週、講義を受講した藤原和博さんからのメッセージと一致します。

>> 藤原和博さんが教えてくれた「それぞれ一人一人」の時代の「稼ぎ方」:神田昌典ビスネスプロトタイピング講座 その壱 <<

 

ブレる事なく、我が道を行き、思いを遂げている時代の先導者たち

この他、事業規模の違いはあれども、それぞれも思いをビジネスで体現された方々の体験談、時代を視る目、経営感覚について語られていますが

共通して感じられた事は、他者に惑わされない視点、感覚。必ずしも利益追求ではない点。自然体である点など。

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特に、貢献や感謝される事の重要性に重きを置かれている方が多い印象。

世代の違いもあり、価値観を異にする田原総一朗さんが、まっさらな感じで斬り込む感じが、読者の立場と近く、感情を共有しやすい仕上がりとなっています。

 

 

シカゴ・ベアーズ、痛快逆転劇で今シーズン初勝利:NFL 2014シーズン第2週

先日、開幕したNFL(プロ・アメリカンフットボール)の第2週。

だいたい試合は現地時間の日曜の昼〜夕方に行なわれる事が多いですが、注目の試合は木曜日夜、日曜夜、月曜夜に他の試合と重複する事なく行なわれます。

で、今週のChicago Bears/シカゴ・ベアーズは日曜夜の試合で、相手は新スタジアム(Levi’s Stadium)のこけら落としとなるSan Francisco 49ers/サンフランシスコ・フォーティーナイナーズ。

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Levi’s Stadium。アメリカの国民的スポーツであるだけに、どこを切っても「アメリカ〜」ですね。

49ersは、日本でNFLの人気が盛り上がり始めた頃に、ジョー・モンタナというスタープレイヤーが居た事もあり、人気ですね。

弱り目に祟り目に、ダメ押し?!

シカゴ・ベアーズ、サンフランシスコでの戦績が悪く、しかも主力選手を欠いていながらも先週対戦したバッファロー・ビルズよりも格段に強いという・・

また、追い打ちをかけるように、ベアーズの攻撃の主力ワイドレーシバー2人も出場が危ぶまれる開幕早々ながら早くも暗雲立ちこめる状況。

ワイドレシーバーとは、アメリカンフットボールの攻撃手段はランとパスの選択となる中で

パス攻撃の中心を担うポジションで、エースが存在するチームはそれだけ攻撃力がある事になり、ベアーズの場合、二人エースを擁し、昨年NFL全体で2位にランクする攻撃力を誇ったわけですが、

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アメリカンフットボールのポジション例(攻撃によって様々変化)WR(ワイドレシーバー:青、30ラインの上下)の要件は長身(190cm級)で俊敏な動きが出来る事

その二人とも出れないとなると、得点力の著しい低下、攻撃のヴァリエーションの低下から、相手チームからは作戦を読まれてしまいやすくなる厳しい況、、。

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Chicago Bearsの攻撃の司令塔(QB)、Jay Cutler/ジェイ・カトラー

「弱気は最大の敵」 by 津田恒美

さて、Kick Off(試合開始)。懸念していた通り、49ersペースで進み、17点先行された後、前半最後になって辛うじて7点返すといった劣勢(7-17)。

「はぁ、今週もダメか、、」というより、先週も書いた通り、NFLの場合、レギュラーシーズンは16試合しかないため

1敗の重みが他のプロスポーツよりも重く、連敗となると、(レギュラーシーズンが行なわれる)9〜12月の4ヶ月のうちの1ヶ月は借金返済に追われてしまうという

「今シーズン、ダメ?!」といった事も先走ってしまいそうになる雲行き。

勝負は下駄を履くまで

後半になって、持ち直し気味となり、最終第4クォーターが始まるまで、7-20。

第4クォーターが始まると、一転、耐えていた状況が好転し、攻撃陣が一気に点数を重ね、守備陣もビッグプレーを連発し、一挙21点を連取して逆転!

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エースWR(ワイドレシーバー)のBrandon Marshall/ブランドン・マーシャルのアクロバットなプレー

最後、追いつかれるか?とヒヤヒヤさせられるも、逃げ切り、「ダメか、、」なんて泣きが入っていたところに

望外の喜び!これこそ応援している甲斐だな。お陰さまで良い休みを過ごす事が出来ました。痛快 x ニンマリ

池間哲郎さんに日本の真実の歴史を学ぶ「日本塾」第2回

 

日本の真実の歴史を学び、「日本を愛し、日本人の誇りを持つ」とのコンセプトで開催されている池間哲郎さん主催の日本塾の講義に参加。今回は8月に続いて、2回目。

>> 「日本を愛し、日本人の誇りを持つ」を訴える「日本塾」の初回講義へ行って来た <<

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知られざるラオスと日本の関係

今回の講演のテーマは「日本の成り立ち、古事記と皇室」。なお、主催の池間さんは NPO法人アジアチャイルドサポートを運営され

寄付等を通じて得られた資金で、アジアで恵まれない地域に学校を創設される運動を行なわれています。

講義では、運営を通じてご経験された生々しい話しを聞ける場でもあり、

前半は、ラオスでの活動のフィードバック。聞けば、謙虚さを持つ心など、外国の中で日本人に最も近いメンタリティを持つ国民性との事。

アジア最貧国に位置付けられ、ラオスで見られる光景は100年前の日本の地方の農村地帯と形容されるそうな。

水道の蛇口を捻り、出てくる水は赤茶けており、飲んで一発で命を落としてしまう児童も少なくなく、それは風邪を引いただけでも同様の結果を招き得る。

児童に割り当てられた1食当たりの予算は僅か20円。それも昼食と夕食のみ。学校で昼食を告げる鐘が鳴らされると、我先にと食べ物にありつき、さながら争いが行なわれているかの光景が見られる状況。

領土内では米軍の容赦なき空爆により、至る所に不発弾が散在してる状況で、国の発展を妨げている。

そういった環境下、池間さんが現地の人たちと浸食を共にして、限られた予算で学校を建て、子どもたちに学童用具一式を与えた時にみられる笑顔が何よりも活動の原動力になっているとのお話し。

実際、写真を目の当たりに出来る機会に恵まれましたが、日本の現状とは比較にならない状況で、子どもたちの眩しいばかりの笑みに考えさせられました。

また、日本軍が現地に80kmの「日本道」と呼ばれる道路を造成した事実がありながら、当時を知るラオス人が80歳以上の高齢に達しており、真実が伝承されない状況も進行しており

池間さんは現地でのヒアリング、日本人らしからぬ風貌からその時代を知る人々から日本軍についての印象を聞いて回っているそうですが、否定的な反応は全くなく、非常に感謝されているとの事。

報道で知る限り、アジア諸国の中で日本の存在感を発揮出来ないでいる中、前回紹介したパラオでの事例と並んで、かつての我々の祖先が行なった善行は後世にもバトンタッチしていきたいですね。

問われる「日本って、どういう国?」の答え

後半は、日本神話と皇室について。池間さんが海外に出て行くと、「日本って、どういう国?」との質問をぶつけられる事が多いそうで

池間さんは、日本国旗の説明から入り、漢字の意味を教えて、「太陽の国」「太陽の子孫」である旨に言及されるそうな。

池間さんが鳴らす警鐘は、「地球人」と「国境が無くなった」といった表現で一括りにされてしまう事。

日本人が一人一人、日本人としてのアイデンティティを持っていないと、発せられた疑問には答える事は出来ない。

神話に始まる「日本」

国民が自国の建国の歴史を知る事で、国に対する誇りを持てる礎となり、日本人には国の成り立ちが理解されていない。

その事が国歌、国旗を愛さなくなってしまう状況を招いている。

確かに今回、講義室に入った際、壇上脇に国旗の掲揚があり、無意識に身構えてしまうような心の動きがあり、(自分の国の国旗なのに)この条件反射(摺り込み)の正体って何だろうなと。

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昔は祝祭日になると玄関先などに国旗が棚引く光景も一般的でしたが、現在はまず見られなくなりましたね。

また、日本人が知らない事として「世界最古の国」としてギネスブックに認定されているのは「日本」で

なぜか英語版にその記載があるものの、日本語版には無いそうな・・。

国の成り立ちを学ぶ上では、その国に伝わる神話を疑わない事が前提で、日本の場合、美化された内容でなく、非常に人間らしい描写で綴られているのが特徴だそうな。

講座では、イザナギ(男神)、イザナミ(女神)に始まり、天照大神、ツクヨミ、スサノオといった日本史を語る上で重要な神々など、時間を割かれ説明が有りました。

日本独自の皇室と国民の関係性

皇室に関する話題では日本が敗戦を受け容れ、他国では敗戦国の国家元首は民衆によって処刑されるなどの事が通例であるものの

昭和天皇は日本全国を廻る巡幸で、時として群衆の中をかき分けて歩を進める状況を迎えながらも、国民との間に衝突がなかった。

この事はGHQほかに象徴的な出来事として移ったようで、また、天皇家が約1,000年もの間、居住した京都御所の壁の低さも

王室と民衆が対峙し、高い城壁に守られていたり、地勢条件的に配慮された場所に居を構える事が一般的な事と比較すると

国民と皇室の距離を示す世界的に珍しい間柄であるとの事。この事は「大御宝」(天皇→国民)/「大御心」(国民→天皇)といった言葉で語られている側面もあるそうな。

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講義が終わって、池間哲郎先生と

自国の歴史と向き合う機会

上記、今回、初めて耳にする話しが多く、正しく理解出来ているか自信ないところもありますが

受け身でいると、このような側面で日本史、特に近現代史については学べる事は無く、自分が生まれ育っている「日本」という国の真実、魅力について、学べる貴重な機会となっています。

なお、前回も書いた通り、池間さんは、ご自身の歴史観を押し付ける意思は毛頭なく、むしろ「池間哲郎を疑え」の視点も推奨し

日本人の一人一人がしっかり自国の歴史について学ぶ事の大切さについて説かれています。

自分自身にとっては、この半年(日本塾のプログラムは2015年1月迄)が、その機会になりますが

学びが深まるにつれ、誇れる事、反省すべき事、両面からしっかり歴史観を体得したいとの思いを強くするに至りました。

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重いテーマを扱った講義後の懇親会は、総勢50名の方と明るく未来の話しを
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参加者の熱い思いも語られる場も

 

川井隆史さんが教えてくれる使える外資系エリートの仕事術:『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』読了

『外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術』を読了。とあるご縁から巡り会った1冊。

著者の川井隆史さんはアーサー・アンダーセン(現あずさ監査法人)、日本コカ・コーラ、GE(ジェネラル・エレクトリック)という名立たる外資系で、財務、経営企画関連のディレクターとしてキャリアを築かれた後に独立。

本では、主として外資系で培われた仕事術について紹介。

新卒時は、国民金融公庫に入社されたもののロバート・B・ライシュの『ザ・ワーク・オブ・ネーションズ』を読まれ・・

” 問題発見、解決能力のある知識労働者のみがホワイトカラーとして存在し、残りは対人サービス労働者とルーティーン生産労働者のみである。ここでは、以前の中間層であった普通のサラリーマンという層は消滅している。” (prologue)

との著者(ロバート・B・ライシュ)の予言に危機感を抱き、「すぐに成長したい」との思いから一念発起して1年間の勉強生活を経て、公認会計士の資格を取得し、上記の外資系でキャリアを積む経歴に至った。

外資系で出来る人が実践しているシンプルだけど大切な3点

ご経歴の中で実績を残せたのは、「シンプルだけど大切な仕事についての心構え」を持っていたからだとして、それが下記の3点。

1. すぐに動け

2. 期限は死んでも守れ

3. 言われたことだけやるな

(prologue)

これらは、外資系企業の「できる人」に共通するものであったそうで、日本人が苦手とする順番に並べられたもの。

外資系企業では短期間で社員の優劣を判断するため、この3点が判断基準となり、これが身に付いている人の成長は早く、自然と上司に目をかけられるようになる。

優秀であるためには、努力し続けなければならない

また、この3点に加えて、「優秀であろうとする誇り」も大切で、くり返しアーサー・アンダーセン時代に役員から言われた言葉に

” 世界一のの会計事務所に入社した君たちは優秀なのだ。人より優れていて当たり前であり、それを維持し高めるためにも、つねに努力しなければならない ” (prologue)

特に留意しなければならないのは、「つねに努力しなければならない」の部分。つまり、優秀であり続けるためには、自分で自分にプレッシャーをかけないと生き残れない世界。

その過酷さについては、本の中で度々エピソードとして紹介されていますが、自分が一番印象に残った事例は下記。

” アーサー・アンダーセンは新卒を多く採用する会社だった。しかし、新卒だからゆっくり育てるということはない。2週間程度の研修が終われば徹底的にプロフェッショナルとして扱う。

アーサー・アンダーセンでは顧客に対する監査やコンサルティングを「アサインメント」と呼んだ。アサインメントに入る時点で、過去の資料はすべて読み込んであり、専門用語も理解できていて当たり前だと考えられている。

たとえあなたが就職や転職して初めて顧客のところに行く、つまり人生最初のアサインメントであっても、顧客の前ではまるで「僕はすべて理解しています、あなたがたのすべてを知っています」という顔をしなくてはならない。

私(著者)は、それを甘く見ていた。入社して初めての案件は外資系銀行会計監査案件だった。先輩に「読んでおけよ」と渡されたのは前年の資料と、監査マニュアル。

あまりに分厚くすべて英語で、まさか全ページ読む必要はないだろうと思い、きちんと読み込まなかったのだ。

そして仕事が始まると、耳を疑った。日本語で話しているのにもかかわらず、特有の専門用語が多くて内容がまったくわからないのだ。(中略)

まごまごしていると、上司やお客様にはあきらめた顔をされた。上司にはけちょんけちょんに叱られ、「もう帰っていい」と言われた。” (P24-25)

と、1年で国内最難関資格の公認会計士試験に合格してしまう力量の持ち主ながら、生半可な心掛けでは生き残れない熾烈さが感じられる事例の紹介が本の冒頭にあり、

読み物としての面白さはあるものの、我が身を重ね身を引き締められる部分も感じさせられます。

Tightrope

成長できる人の資質

方や著者が事例から学ばれ、外資系企業の中で頭角を現していく術も生々しく複数綴られています。

印象に残ったところでは・・

1. ” すぐに成長する人は、何か大きなミスを犯したり、トラブルに巻き込まれたとき、「悩むより考える」タイプの人が多い。” (P39)

2. ” 仕事を始めるときには最初にボトルネックを把握しろ : ボトルネックとは、仕事の進行の妨げとなるもののことだ。事前にボトルネックになるものは把握し、しかるべき手を打っておくのが、すぐ成長する人には欠かせない姿勢である。(中略)

仕事自体はがんばっているのに何だかうまくいかない「残念な人」は、このボトルネックの把握ができていないことが多い。さる仕事やプロジェクトを担当するさい、何がボトルネックになるのか事前によく考えてみてほしい。” (P56)

3. ” あなたは、自分が日々使うお金を「投資」「コスト」「ロス」に分けて考えているだろうか。

「投資」はお金を使った影響がその時点で終わらないもの(中略)

「コスト」は、その場でしか効果が得られないもの(中略)

「ロス」は、お金や時間を費やしたのに、その場でも効果がないものを言う。” (P158)

等の共通した傾向にみられる指摘。

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在り様が正しければ、結果はついてくる

その他、様々、外資系に限らず、会社の中で結果を出すための心構え、スキルについて著者の経験に基づいた紹介がなされていますが

読まれた人それぞれにとって、目に留る記述が異なってくると思い、そこに成長のヒントが隠されているものと思います。

必ずしも本を読んで実践して即結果に反映されてくるものではないですが、

” あなたも、それがどんなことであれ、目の前にある仕事をきっちりまじめにやることは必ず将来プラスになるはずである。” (P168)

” 自分(著者)の例で恐縮だが、アーサー・アンダーセンに入社してから約10年で年収は約4倍になった。きちんとキャリアを積めば倍々ゲームなのである。何より本当にやりたい仕事ができるようになるのだ。

どうか心からの「やりたい」を積み重ねて、理想のキャリアを築いてほしい。” (P172)

と正しい心掛け、取り組みによって、得られる結果、評価が違ってくるとの著者からのメッセージもあり、特に組織の中で結果を求められている方々にとっては、ブレイクスルーのきっかけを掴める一冊となるかもしれません。

「冒険」に出たものだけが、大きな果実を手にすることができる