2022年4~6月期GDP0.9%増。インフレ、利上げが影
” オーストラリア統計局が7日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)は、前期比0.9%増加した。堅調な個人消費や資源輸出がけん引した。
約20年ぶりの高水準となっているインフレが加速し、利上げに伴う負担が経済の先行きに影を落とす。
前年同期比では3.6%増だった。4~6月期、GDPの過半を占める個人消費は前期比で2.2%増加し全体を1.1ポイント押し上げた。
食品や自動車などの売れ行きは落ちたが、新型コロナウイルスの規制がゆるんだことで「輸送サービス」への消費が37.3%増、「ホテル・飲食店」が8.8%増となるなどサービス消費が活発になった。
しかし、豪準備銀行(中央銀行)はインフレ対策で利上げを急いでおり、人々の財布のひもが固くなるのは確実だ。
前期比5.5%増を記録した輸出にも懸念がある。7日に記者会見したチャーマー財務相は、中国で新型コロナ関連の規制が長引いていることへの懸念を指摘した。
中国は豪州の輸出の3割超を占める。中国経済の減速は豪州の最大の輸出品である鉄鉱石への影響が大きい。チャーマー氏は鉄鉱石のスポット(随時契約)価格が6月末から約2割下落していると指摘した。
コロナからの回復に伴う人手不足やサプライチェーン(供給網)の混乱もある。産業別の成長率をみると「製造業」は前期比1.1%減、「建設」も0.4%減だ。
統計局は製造業については一部で供給網の混乱が影響したと指摘、建設についても「事業者が労働力不足を訴えている」と説明した。
消費者物価指数(CPI)は4~6月期に前年同期比6.1%の伸びを記録した。チャーマー氏は「年末にかけて7.75%に上昇すると予測している」という。
豪準備銀行はインフレ抑制のため6日、5会合連続での利上げを決めた。政策金利は2.35%と15年初め以来の高い水準になった。住宅ローンの金利が上がり消費をさらに冷え込ませるおそれがある。
豪コモンウェルス銀行のエコノミスト、ギャレス・エアード氏はクレジットカードやデビットカードの利用分析から「消費の成長が8月を中心に鈍化している。利上げの影響が出始めている」と指摘した。
住宅調査会社コアロジックによると、8月の全国の住宅価格は前月比で1.6%減となり、1983年以来約40年ぶりの下げ幅となった。
最大都市シドニーと第2の都市メルボルンでは前年同月比でもマイナスとなった。資産の価値が下がることで、人々がモノを買わなくなる可能性がある。
英キャピタル・エコノミクスは7日のリポートで「豪州のGDPは年後半にかけて軟化する。23年前半には海外との往来再開の効果が薄れ、住宅の値下がりが投資や消費の足を引っ張るようになり、さらに成長は鈍化する」との見方を示した。”(出典:日本経済新聞)
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