現役選手時代(福岡ダイエーホークス〜福岡ソフトバンクホークス)の大エース斉藤和巳さんが発してきた言葉が
” 印象的だったプロでの活躍やドラマチックな野球人生とは別に、野球とは直接関係のない分野の人たちの間で、しばしばその言葉の的確さ、クレバーさが噂になっている。
あるマーケティングプランナーの言葉を借りるならば、「斉藤和巳の話は、野球を超えた人生哲学みたいだ」という評価だった。”(p007)
との評価を得、インタビューでその考えを抽出し、まとめられた『斉藤和巳 エースの銀言 人生のディフェンス力』を読了。
サイン本販売機会に反応し、入手していた経緯。
現役選手時、実践された考え
その考えとは
” 人に決められたことは苦しい時に頑張りにくい。でも自分で決めたことであれば、責任を持てるか持てないかというのは、その人の人間力であったり器であったりしますからね。
僕は自分で決めたことに対して、あーだ、こーだと言いたくないんです。”(p071)
に、
” 失敗を全部笑い話にできたら最高の人生ですよね。失敗した時の自分よりも、それを話せている自分って、絶対成長しているからこそだと思うので。
例えそれが人前でも、笑い話として話せたとしたら。それができたときの自分は、あの時よりは成長できたかな、殻を破れたな、壁を登れたんだなと、自分自身の中で喜びを感じています。
人には別に理解はしてもらわなくていい喜びです。”(p136)
或いは、
” 自分の基本であったり軸であったりっていうのを持つ、それをちゃんと明確に見えているかどうか。そこに対して覚悟を決められるかっていうのは大事かなと思います。”(p147)
といったもの。
なお、タイトルにある「銀言」とは
” 本当は仏さまのありがたいお言葉なのに、まだまだ未熟で悟りも開けていない輩が乱発している金言には、果たして人を救う力はあるのだろうか?
一方、斉藤和巳の言葉は上から目線の金言ではなく『銀言』。たとえて言うならば、仲のいい近所のお兄さんや部活の先輩がときどき発する、ハッとするようないい言葉、得心のいく助言に近い。
『銀言』だからこそ、その言葉は限りなく身近であり、限りなくわれわれの思考にヒントや刺激を与えてくれる存在になると信じている。”(p009)
との思いが込められ、掲げられた語句。
成績以上にファンにとって特別な選手
現役選手時代、沢村賞2回、生涯勝率.775に代表される成績より、何よりファンの記憶に刻まれた選手で、
” プロなんか行けないと思っていた高校生が入団してすぐにケガをし、約5年の雌雄の間にトレーニングの意味を知り、プロ生活で79勝という名球会の基準からすれば半分にもならない成績なのに、いまだ語り草となって野球ファンの心に残り続けている、稀有で魅力的なピッチャーの、冷静な思考回路から発せられる言葉なのである。”(p257-258)
圧巻の成績を叩き出すのと並行して、
ファンに特別な選手として記憶に刻まれることになった時代を築いたアスリートのエッセンスに触れられる著書です。