俳優 佐久間良子さんの齢八十五にして初著作との自叙伝的エッセー『ふりかえれば日々良日』を(2025年3〜4月)月末月初を跨いで読了。
1月下旬ふらっ〜と立ち寄った書店で

サイン本に遭遇し、年に一度あるかないかといった頻度で女優の方の自伝を読んでいた経緯から興味を刺激され購入した次第。
世代の相違もあり、本書に出てくる佐久間良子さんご出演作にピンポイントで反応することはなかったものの
“「大泉の東映撮影所で運動会があるの。見にいらっしゃらない?」
というお誘いです。小宮さんとは面識はありませんでしたが、川村の大先輩です。せっかくのお誘いですし、大泉は我が家の桜台から近いこともあって、出かけていることにしたのです。”(p49 / 註 小宮さん=小宮光江 ん)
とのきっかけから
” 数日後、学校から帰ると、玄関に黒塗りの大きな車が停まっていました。社旗に「東映」と書かれています。応接間に入ると東映の幹部の方が両親に向かって、
「良子さんをスタートして育てさせてください」
と深々と頭を下げていました。”(p50)
と高校から短大に進学するつもりが、急転、両親の猛反対を押し切って女優への挑戦。そこから
“「人生劇場」のおとよにしても『五番街夕霧楼』の夕子にしても、私自身とまったく接点のない世界に生きる女性です。この女の人は、どういう家に住んで、どういう食べ物が好きなのだろうか。そんな想像をすることから、役作りが始まります。
そして現場に行って、髪を整えメイクをして扮装して、セットへ入っていく間に、自分が自然とその役柄に「成れて」いくのです。計算から入ると気持ちが伴わないので、心が通じない役になってしまうように思います。結局、演じることが好きなのですね。嫌だったら、この歳まで女優を続けていないはずです。”(p98)
と邁進された俳優道に、
” 「女優って、楽しいことなんて少しもありはしませんね。苦しいことばかりよね。もし楽しいことがあるとすれば、楽しい話を聞かされる前が、一番楽しい」
杉村先生は文学座という劇団を率いていたので、若手を育てることをいつも意識していらっしゃいました。私などには窺い知れないご苦労も、おありだったのでしょう。”(p94 )
や
” 「ちょっとドライブして行こうか」
とおっしゃって、夕暮れの海岸へ車を走らせたのです。まるで映画の一場面みたいで、私はウットリしてしまいました。ところがその道すがら、
「僕だって、辛いことはあったんだよ」
と、なぜかご自分の失恋の話が始まったのです。
お相手は、松竹所属の女優さんでした。健さんはその女性のために、貯めたお金でクリスマスプレゼントにペンダントを買ったそうです。”(p78)
引用箇所以下ほろ苦い展開となりますが、杉村春子さん、高倉健さんら昭和の大スターとの思い出話しも散見。更に、
” 結婚が決まったのは突然で、新聞記事のせいでした。確か雨で巨人戦が中止になった翌日、報知新聞の一面に二人が結婚するというスクープが載って、私自身がびっくりしたのです。”(p104)
という平幹二朗さんとの結婚、離婚そして
” この先も『SHOGUN 将軍』の続編を含め、ずいぶん先まで仕事が決まっているそうです。ニューヨークのエージェントや弁護士と契約して、日本よりずっと厳しい芸能界で生き延びているのですから、大したものです。”(p131-132)
と当初は猛反対したものの
” 結果はどうなろうと責任をもつのも自分ですから、決断を尊重すべきだと考えるようにしたのです。”(p128)
とのお考えから同じ道を歩むことを認めたご子息 平岳大さんの活躍に至るまで、近況を含めたプライベートへの言及あり、

お名前程度の知識であった昭和の銀幕を中心に活躍された佐久間良子さんが辿られた軌跡を興味深く垣間見ることが出来ました。