ノンフィクション作家 佐々涼子さんの『エンド・オブ・ライフ』を読み始めて
全315ページあるうち84ページ(〜 二〇一三年 その2 まで)読み終えたので、そこまでのおさらい。
書店に立ち寄った際、
「200名の患者を看取った看護師は、自らの死をどう受け入れたのか?」
なる文言を含む帯に、一冊だけストックされていたサイン本が決め手となり
購入。
覚悟、の先に示される思い
死が、テーマとなっているだけに、トーンは重くなりがちですが、
序盤に登場するのは
“「家族で潮干狩りするって決めているんですよ。六月に行こうと約束していたのに具合が悪くなってしまって。だから、今回はどんなことがあっても行こうと思います」”(p19)
と、結果として人生最期の日に潮干狩りに出掛けた末期癌患者とその家族、帯同した医療スタッフの話しに、
本書の主人公であろう(取材時)高校生と小学生の二児の父、四八歳にしてステージIVのガン宣告を受けた看護師に、
死と向き合いながら前向きに生きようとする生きざまが伝わり、ちょうど一年前に読んだ ⬇︎
『友情について 僕と豊島昭彦君の44年』に近しき感覚を抱きながらの読書となっています。
死と向き合いし瞬間に去来するもの
中、後半に効いてくるものと推量していますが、
” 近代ホスピスの創始者といわれるシリー・ソンダースの分類によると、痛みには大きくわけて四つの種類がある。
身体的な痛み、精神的な痛み、社会的な痛み、そしてスピリチュアル・ペインである。
・・中略・・
彼らによると、身体の痛みを取ると人間はスピリチュアルな痛みに耐えられないと言うんですね。”(p71-72)
或いは
“「死が近づいてくると、たいていの人はまず否認をする。次に、怒り、取引の感情がきて、抑鬱、そして受容という段階をたどるという説ですね」”(p77)
と、いざ死と対峙せざる得なくなった段階での心情の描写が印象的で、今後の展開への興味を強められています。
もっか制御することが出来ない感染症の拡大により、多くの人が健康であることの尊さ、時として死に思考を巡らされもする時期、
誰しもが避けて通れぬ「死」について、再び一冊の本で通じて思いを及ばせてみたく思います。