小説家 佐藤究さんの『Ank:a mirroring ape』を読了。
「難しかったなぁ〜」というのが、中途から読了に至るまでに感じていたことですが、
本書のあらすじを背表紙から拾うと・・
” 二〇二六年、京都で大暴動が起きる。京都暴動 ー 人種国籍を超えて目の前の他人を襲う悪夢。
原因はウイルス、化学物質、テロでもなく、一頭のチンパンジーだった。
未知の災厄に立ち向かう霊長類研究者・鈴木望が見た真実とは・・・。”
というもの。
” 頭に電極をつけたチンパンジーの名はアンク。七歳のオス。劉立人はそう説明した。密猟者に親を殺され、受け入れ先がなくKMWPセンターに運ばれてきた。首のコルセットは撃たれた傷を保護するためのもの ー “(p225)
及び
“「これはまさに旅なんだよ。そして航行するその船には、<ミラリング・エイプ>という学術論文を書いた鈴木望という人物が欠かせないと私は思っている。」”(p83)
を軸に、京都で起きた大暴動を巡り642ページに及んでストーリーが展開されていきます。
全貌を掴めると、巻末の「解説」を書かれた今野敏さんの場合
” 『Ank』は、私にとって衝撃だった。どれくらい衝撃だったかというと、読後、小説家を辞めてしまおうかと思ったくらいだった。”(p648)
といった読後感をもたらす作品で、佐藤究さんの深淵さが本格化した作品であるように。
尋常ならざる世界観
ということで、昨年(2021年)10月に購入した ↓
佐藤究さん本4冊読了。
それぞれに強くダークサイドに引っ張り込まれていくような打ちのめされ感を覚えましたが、
今後(『テスカポリトカ』後)発表されるであろう作品は更に世界観が先鋭化していくであろうと、読み手側の覚悟も求められる作家として次作への興味を強くさせられました。