昨年(2021年)↓で
直木賞受賞した佐藤究さんですが、本作(『QJKJQ』)では2016年に江戸川乱歩賞を受賞。
『テスカポリトカ』で佐藤究さんの世界観に触れて以降、作品に向き合う前( ↓の時など)には
相応な覚悟のようなものを感じていますが、本書(『QJKJQ』)のあらすじを裏表紙から転記すると
” 女子高生の亜李亜は、猟奇殺人鬼の一家に生まれ、郊外でひっそり暮らしていた。
父は血を抜いて殺し、母は撲殺、兄は咬みついて失血させ、亜李亜はナイフで刺し殺す。
ところがある日、部屋で兄の惨殺死体を発見する。翌日には母がいなくなり、亜李亜は父に疑いの目を・・・。
第62回江戸川乱歩賞受賞の長編ミステリー。”
とあり、母がいなくなったところから犯人探しのミステリーが展開されていくのかと思いきや
二重、三重といった底知れぬ形で状況は暗転していき、謎めいたタイトルの
” そしてトランプのカードがQJKKJQじゃなく、QJKJQだった理由は? なぜKはひとつなのか ー “(p306)
なるトリガーも状況に拍車をかけ、
後半に差し掛かると次第に闇に光が当てられていき、エピローグで希望のような錯覚に救いに近い感覚を覚えたものの
「よくこのようなストーリー考えたなぁ」と、覚悟に見合う!?一筋縄ならぬ闇の深さを見せつけられた読中&読後感。
通底する世界観
昨年12月から月一ペースで佐藤究さん作品の読み本作で3冊目でしたが、
まだ約650ページに及ぶ大作(=『Ank:a mirroring ape』)が残されており、「また、強烈な思いを引っ張り出されるのだろうなぁ」と楽しみであるような、やや及び腰にさせられるような・・