明治大学 清水克行教授著『室町は今日もハードボイルド 日本中世のアナーキーな世界』を読了。
(2021年)6月、西荻窪の今野書店で開催された
サイン会で入手していた経緯。
知られざる室町時代
本書は、小中学校の道徳の検定教科書に名を連ねた人物(二宮尊徳、吉田松陰他)の中に、清水克行教授の専門の中世が含まれていないことに、これは
” たしかに中世を生きた人びとのなかには「道徳」的な人物は少ない。というよりも、むしろ、そうした私たちの既存の「常識」や「道徳」の埒外にあることが、中世人の最大の特徴であり魅力なのである。”(p4)
また
” 「中世」は、日本の歴史のなかでも最もアナーキーな時代であり、対外的にも対内的にも「国家」としての建前がかろうじてギリギリで維持されている社会だった。”(p126)
とのイントロダクションに紹介から
” 中世のムラはなかなかどうして立派な戦闘組織で、ときとして血気にはやる若者たちがその激烈な活動を支えていた。”(p66)
に、
” 改元を認めず旧年号を使用し続けることで、現政権の存在を否定するという意思表示をしたのである。この反抗は驚くべきことに三〇年の長きにわたり、都では「享徳四年」で終わったはずの年号を、成氏は頑固に「享徳三一年」まで使い続けたらしい。”(p97)
或いは
“「後妻打ち」と書いて、「うわなりうち」と読む。その内容を簡単に説明すれば、こういうことになる。
妻のある男性が別の女性に浮気をする。というのは、好ましいことではないにせよ、現代でも時おり耳にする話である。
・・中略・・
過去の日本女性たちは、女友達を大勢呼び集めて、夫を奪った憎い女の家を襲撃して徹底的に破壊、ときには相手の女の命を奪うことすら辞さなかったのである。
これが平安中期から江戸初期にかけてわが国に実在した、うわなり打ちという恐るべき慣習である。”(p131)
といった他時代と比較して中世で特徴的なもろもろが16のテーマ(切腹、落書き 他)に沿って紹介されています。
侮れぬ中世の多士済済
本書を読み初めて知ることばかりでしたが、先週読了した↙️
『となりの一休さん』も時代はやはり室町で、現代から遡って「個性的な先人に、また文化が根付いていたんだなぁ〜」と。
また、
” まったく夢も希望もない話なのだが、直江兼続の「愛」の兜の真意は、いくさの神である愛染明王もしくは愛宕権現を意味し、それを兜に掲げることで必勝を祈念したものだったのである。”(p147)
といった日本史上の興味深いトリビアも、本書の魅力に⤴️するものでありました。