時効を迎え、当時の世間を騒然とさせた史上最大の未解決と称される「グリコ・森永事件」を題材とし、真相に迫った
『罪の声』を読了。
400ページ超のボリュームながら、幸い期間中の中距離移動が多く、5日程度の移動電車中で一気にエンディングまでといった感じでしたが、
一つ一つの場面描写の細かさに、刻々と切り替わっていく場面に、入り混じる人間模様に・・
もっと密度を高く(集中)して読んだ方が、感じたであろう読み応えもより高かったろうと思うものの
途中、引っかかっていた部分も、最後、散りばめられたピースが統合されていくので
すっきりさせてくれます。方や誰も勝者がいないかのエンディングに、前日から突如運命が暗転、予期せぬ展開から
それまでの生活の分断を余儀なくされ、表舞台から身を潜めざるを得なかった家族の無念さなど、
虚無感というのか、軽く打ちのめされる感覚にも襲われます。
史実から統合された見事な展開
幾つかの読者レヴューで、ノンフィクションとフィクションの狭間を感じさせられるような内容に触れ、
実際、私も「どこまでが真実なんだろう?」と、見事に一つの仮説に現実感が詰まっている感じが
本書の見事さ、重版を重ねているとの評価に裏付けられているように思います。
映画なり、ドラマなりで映像化してくれたら「是非、本書で描かれたストーリーの奥行きを感じてみたいなぁ」と
更なる追体験を期待したい心情に駆られていますが「グリコ・森永事件」に騒然とさせられた時代を生きた者の一人として、その真相を垣間見せてくれるかの興味深い一冊でありました。