政治学者 白井聡さんの『国体論 菊と星条旗』が、
第一章 「お言葉は」何を語ったのか
第二章 国体は二度死ぬ
第三章 近代国家の建設と国家の誕生(戦前レジーム:形成期)
第四章 菊と星条旗の結合 ー 「戦後の国体」の起源(戦後レジーム:形成期①)
第五章 国体護持の政治神学(戦後レジーム:形成期②)
第六章 「理想の時代」とその蹉跌(戦後レジーム:形成期③)
第七章 国体の不可視化から崩壊へ(戦前レジーム:相対的安定期〜崩壊期)
第八章 「日本のアメリカ」ー 「戦後の国体」の終着点(戦後レジーム:相対的安定期〜崩壊期)
終章 国体の幻想とその力
とあるうちの第五章まで読み終えたので、
「国体」が求められる時代背景
目次(章)を列挙しただけで難解な印象が伝わるものと思いますが、
冒頭の「 序 ー なぜいま、「国体」なのか 」で、
” 本書のテーマは「国体」である。この言葉・概念を基軸として、明治維新から現在に至るまでの近現代日本史を把握することが、本書で試みられる事柄にほかならない。
「国体」という視点を通して日本の現実を見つめなければ、われわれは一歩たりとも前へ進むことはできないからだ。”(p3)
と問題提起があり、
” 本書のテーゼは、戦後の天皇制の働きをとらえるためには、菊と星条旗の結合を、「戦後の国体」の本質として、
つまり、戦後日本の特異な対米従属が構造化される必然性の核心に位置するものとして見なければならない、というものである。”(p4-5)
といった前段を受けて、史実に沿って論が展開されていきます。
今こそ問われる「国体」の本質
そもそも(国民体育大会の略称ではない)国体とは何ぞや?ということで、大辞林で語意を調べると・・
” ① 国家の状態。くにがら ② 国の体面。国の体裁。 ③ 主権の所在によって区別される国家形態。共和制、君主制など。 ④ 天皇を倫理的・精神的・政治的中心とする国の在り方。第二次大戦前の日本で盛んに用いられた語。”
とあり、実際、本書でも
” 当然読者の脳裏には直ちに疑問が浮かぶであろう。「戦前の時代はともかくとして、戦後には <<国体>> は死語であり、日本の現状を理解するには不適切ではないのか」と。
「戦前の国体」とは何であったかといえば端的に言えば、万世一系の天皇を頂点に戴いた「君臣相睦み合う家族国家」を理念として全国民に強制する体制であった。(以下省略)”(p3)
と説明が成されているものの国体の語に馴染みなく、ピンとくるものではなく、重量感を引きづりながら読み進めていますが、
「今、売れている本」であることは承知しており、時代を読み解くヒントを本書から得たいと思います。