白井聡さんが突きつけた、敗戦否認の余りある代償:『永続敗戦論 ー 戦後日本の核心』読了

先日、中間記をアップロードした

<< 2018年6月4日投稿:画像は記事にリンク >> 白井聡さんが突きつけた、敗戦否認の余りある代償:『永続敗戦論』中間記

政治学者 白井聡さんの『永続敗戦論 ー 戦後日本の核心』を読了。

先行して読了した『国体論 菊と星条旗』と同じく、

<< 2018年6月2日投稿:画像は記事にリンク >> 白井聡さんが問う「国体」という視点を通じて切り拓く日本の未来:『国体論 菊と星条旗』読了

全体を理解するには時期尚早といった感は否めずも、

現状(出版時)への警鐘を

” ひとことで言えば、安倍政権とは「永続敗戦レジーム」の原理主義的純化による同レジームの死守をその本質とする政権である。

・・中略・・

今日、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更以来、「日本国家」はいかようにも合理化できない武力行使に再び踏み込むのではないか」という不安が高まっているが、それはもっともなことである。

このレジームの耐用年数はとっくに過ぎているのだから、それをさらに持続させようとするならば、ますます強引な手段が必要となってくる。

それをさらに持続させようとするならば、ますます強引な手段が必要となってくる。

それはすでに、閣議決定によって憲法を実質的に変更するという政治手法において明白に現れている。”(p250-251)

もともとが2013年に出版された著書であることから、引用事例は遡りますが、

強引な手段が強行されている現実は、多くの人たちが今日共感できることでしょう。

照らされぬ問題の根源

警鐘を鳴らした現状に対して、『国体論  菊と星条旗』の結論では

天皇陛下の「お言葉」に端を発した形から

” 「お言葉」が歴史の転換を画するものでありうるということは、その可能性を持つということ、言い換えれば、潜在的にそうであるにすぎない。

その潜在性・現実態に転化することができるのは、民衆の力だけである。

民主主義とは、その力の発動に与えられた名前である。”(p340)

と締めくくられる訳ですが、大本の根っこは

” 本書(註『永続敗戦論』)は、これまで何度も指摘されてきた、対内的にも対外的にも戦争責任をきわめて不十分にしか問うていないという戦後日本の問題をあらためて指摘したにすぎない。”(p247-248)

と明瞭。

著書を二冊通読して白井聡さんの論を理解出来てきた実感はあり、

今、各所で露呈している問題に、閉塞感の正体を捉える、或いは考えてみるに力となる著書であると思います。


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