お笑いコンビ霜降り明星 せいやさんの初著書『人生を変えたコント』を読了。
(2024年)11月末の前田健太選手イベント後、ふら〜っと立ち寄った書店でサイン本を見つけ、
即反応していた経緯。
どうしても伝えたかった切なる思い
本書は
” イシカワは「この学生時代の経験をいつか本にしたい。文字に書いて本に出したい」そう思っていた。
同じような境遇の人たちに、ひとりでも多くの人たちにこの経験を話したい。そして今、2024年。32歳になったイシカワはこの本をあなたに読んでもらっている ー “(見返し/ 註:せいやさんの本名 = 石川晟也)
との思いから実に17年の時を経て出版に至った半自伝小説。
その内容は、
“「自分がいじめられるわけがない」
たいていの人は自分のことをそう思っている。実際、この背が低くて目がクリっとした少年も、高校1年の新学期まではそう思い込んでいた。”(p6)
という高校生活の始まりに躓いてしまったところから次第にいじめの標的にされ、エスカレートし
” 最初は上手くいかない、地獄のような学校生活でもあったんですけど、 ・・中略・・ 皆さん、見たことあると思いますけど、ボクがニット帽を被っているのも、病気で髪の毛が抜けているからです。ギリギリでした。 “(p152)
という逆境(という一語では済ませられない状況)から
” でも僕はみんなと一生忘れられないコントができました。すごくつらかったぶん、今すごく幸せです」”(p152)
なる大逆転劇について、絶望的な重苦しさから次第に光明が差してくるあたりから得られる爽快感に、ストーリーに惹き込まれ一気に読了に至りました。
絶望から希望、そして拓かれた境地
“このとき、イシカワは「いじめられている」とは絶対言い出せなかった。まず大きな要因のひとつはオカンだ。オカンに心配されたくないし、まったくそのような素振りを見せてこなかった自分の頑張りが無駄になってしまう。”(p48)
に、
“「自分は追い込まれてハゲてなんかいない。自分はまったく精神的にやられているわけじゃない」
これはただの皮膚の病気だと自分に言い聞かせて、オカンを安心させるためにも皮膚科じゃないといけなかったのだ。”(p52)
といった実体験に基づいているからこその心理描写、現実感から結びの「エピローグ」に記された
” 人間は生まれたときに “(p157)
の以下(続きは是非原文で)に綴られたせいやさんの人生観が最大の読みどころで、探偵!ナイトスクープ 出演時に抱いていた印象を覆され、没入から最後共感を引き出された半自伝小説でありました。