先月(2019年7月)、刊行記念トークイベントに参加した
『私たち異者は』読了。
イベントに参加していたものの、果たして内容を消化し切れるか自信なく、なかなか手が伸びていかない状況でしたが、
『柴田元幸ベスト・エッセイ』を読了し、気分が盛り上がり、読み始めたら、一挙その日のうちに読了。
七様の只ならぬ展開
本書には、
平手打ち
闇と未知の物語集、第十四巻「白い手袋」
刻一刻
大気圏外空間からの侵入
書物の民
The New Things
私たち異者は
の短編七篇が収録。
本書のタイトルになっている「私たち異者は」の
” 和たち異者はあなたとは違う。私たちはあなた方より気難しく、神経質で、落着きがなく、向こう見ずで、打ちとけず、自暴自棄で、臆病で、大胆だ。”(p165)
の書き出し「!」となったものの読みながら頭の中で情景を描き切れず、、。
好みということでは、ある日突然クラスメート(以上)が片手に手袋をはめて登校するするようになり
” 僕が見たくてたまらないのは、いまやすさまじく膨らんだ好奇心を満たすためではなく、秘密をもたらす呪縛からエミリーと僕を解放して僕たちをかつての平穏に戻したかったからだ。
もはや僕たちのあいだに平穏はなく、あざ笑う白い手袋があるだけだった。”(p85)
という主人公の心情が抑え切れなくなっていく「白い手袋」。
はじめの一歩(一作)
すっきりした読後感を得られなかったのは、慣れの問題か、或いは原作者との相性か、
どうしても日本人作家が書いている作品とは異なる歯ごたえのような感覚を拭えませんでしたが、
本作がアメリカ文学と向き合いはじめといった段階でもあり、そこから先に進めるか、数作品あたってみようと思います。
なお、本作のオリジナル「We Others:New and Selected Stories」は優れた短編集に贈られる The Story Prize 受賞作品であるとのこと。