編集者/株式会社グーテンベルクオーケストラ代表取締役 菅付雅信さんの『インプット・ルーティン 天才はいない。天才になる習慣があるだけだ。』 を昨日読了。
(2024年)8月下旬に開催された
刊行記念イベントに参加し、入手していた経緯。
本書は
” アウトプットのやり方は人によっても大きく異なり、載せるメディア(媒体)によっても異なり、クライアントや共同作業する環境によっても異なり、そして時代と共に激しく変化する。さらにはテクノロジーの急速な発展により、少し前の技術的なアドバンテージがまったく無効になってしまうことも増えている。
では、10年、20年、さらには一生有効であろうとするクリエイティヴ教育の色褪せない普遍のメソッドとは何か? それは知的インプットのやり方を教えることなのではと私は考える。”(p006)
に、
” 頭の中に過去のデータが大量に入っているからこそ、その新しい組み合わせも生まれてくるのだ。
ヤングが語った公式はたしかに正しいと思えるが、私からするといちばん重要な分母の部分が抜け落ちている。アイデアのつくり方とは、より正確に言うならば、
既存のアイデア x 既存のアイデア
ではなく、
既存のアイデア x 既存のアイデア / 大量のインプット
である。”(p023-p024 / 註:ヤング=ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』の著者)
という編集者で且つ大学教授でもある著者 菅付雅信さんが、30年以上に及ぶキャリアを通じて協働された国内外の2,000人以上の第一線のクリエイターを通じて得られた確信を礎に
第1章 インプットのルーティン 天才はアイデアを生み出す「仕組み」を持っている。
第2章 目のインプット・読書編 「負荷のある読書」、それに勝るインプットはない。
第3章 目のインプット・イメージ編 写真・映画・アートの「三大視覚芸術」をインプットせよ。
第4章 耳のインプット 音楽のセンスが悪い人間は、クリエイティヴのセンスも悪い。
第5章 口のインプット トップクリエイターは、なぜ「食べ方」に気を使うのか?
第6章 アウトプットの方程式 優れたアウトプットとは、「意外性のある組み合わせ」である。
の章立てに沿って、ノウハウがふんだんな具体例も踏まえインプットについて説明されています。
一例を挙げると・・
” 「自分を賢くしないものを、自分の目と耳と口に入れない」
唖然とするほどシンプルな方法だろう。
情報の洪水に翻弄されず、自分を賢くするものだけを常に選び、身体に入れること。
これはクリエイティヴ教育におけるもっとも重要なテーゼであり、本書で伝えたいことのコアだといっていい。”(p032)
の一文を受けて参照すべき文献、作品名は豊富に記されており、日常への落とし込みでは
” 「よりクリエイティヴになりたければ、今日から1000日間、毎晩寝る前に、次の3つのとてもシンプルなプログラムを行ってください。
まず、短編小説を1つ読む。10分か15分くらいで読み終えるものを。
つぎに、膨大な詩の歴史の中から1篇の詩を読み上げましょう。なるべく偉大な詩人のものを読んでください。現代詩はくだらないので無視してかまいません。
最後に、あらゆる分野のエッセイ(論考・随筆)を1つ読みます。
考古学、動物学、生物学、政治学、偉大な哲学者たちの書いたものを。”(p063)
といった具合。
本書序盤に
” 強い「覚悟」が人をクリエイティヴにする。”(p045)
に、
” 肝心なのは、その覚悟が日々の生活に実装されているかどうかだ。”(p046)
と読者を容易に近づけず、クリエイターとして突き抜けるための覚悟も大前提となる中、
最も共感/鼓舞させられたのは
” しかし「人間らしさ」の定義が激しく変化する現在、クリエイターには「人間にしかできないこと」を次々と更新していく大きな役割があると考える。そして「人間にしかできないこと」ならびに「その人しかできないこと」を世に認められるものとして発表できたとき、その達成感は以前よりも大きなものになるだろうと確信している。”(p268)
の中の「その人しかできないこと」の部分。
脳に身体へのインプットがアウトプットに密に結びつくことが本書を通じてよく理解出来たので、量とともに質にも留意し、自分にしか出来えぬアウトプット突き詰めていきたく思った次第でありました。