先月↓に続いて
テーマは先ごろ行われた「日露首脳会談」。冒頭、挨拶に立たれた鈴木宗男(新党大地)代表が、
「私は大成功で終わったと受け止めている」と述べられ、
マイクを引き継いだ元外務省主席分析官の佐藤優先生も同様で、「技ありを取ったという認識でいる」と評価。
マスコミのフィルターを通して得ていた感じからすると意外な感じを持ちましたが
佐藤優先生の解説では、当初の首脳会談で目的とするところが領土問題の解決であったなら失敗となるが、
目標は平和条約締結へ向け、実質的な重要事項を出来る環境を整えることにあり、
共同経済活動実現へ向け実施段階に入れたことが成果であると。
そして2017年は共同漁業活動なり、病院の建設など目に見える形を残していくこと大事となり、
それが出来なければプーチン大統領がロシア国内世論に対抗出来なくなり、今回の会談の成果が失われてしまうことになる。
成果が出始めれば、2、3年を目処に歯舞群島、色丹島の返還への道筋が出来、
返還となり歯舞諸島、色丹島の暮らしぶりが、国後島、択捉島と歴然とした違いを見せるようになれば
5〜10年といったスパンで四島返還の道筋も見えてくるだろうとのお話しには聞いていて合理性も感じました。
また「日本とロシアをつなぐエリアという発想が根底にあると、70余年動かなかった問題が動きそうだなぁ」と。
なお、鈴木宗男代表は今年、時期を分けビザなしで北方領土を訪問されたとのお話しがあり
各島での状況ついて、択捉島は「俺たち(ロシア人)だけで生きていける」、国後島は「大統領の判断に従うが、まさか自分たちを見放すことはないであろうという思い」、
色丹島は「日本人と共生していくことも良い」という印象を得られたようで、島によってさまざま温度差を実感されたそうな。
両首脳の会見から双方の立場を斟酌し、安倍首相は東京宣言に、プーチン大統領は(一旦、二島の主権について放棄したとされる)サンフランシスコ平和条約に、
それぞれ言及しなかった大人の対応をみせたことから読み取れるべきメッセージがあり、ロシアが一部主権について譲歩の姿勢を見せるなど首脳会談実施の大きな成果があったと。
また、注目すべきは主要新聞が軒並み首脳会談を評価しなかったことに対して
内閣支持率が大きな影響を受けなかったどころか、毎日新聞では微増に転じ、国民の叡智、集合知がうかがえることも佐藤優先生は注目されていました。
他では、米露関係が緊密なると日露関係の重要性が薄れるとの見立てに佐藤優先生は、
オバマ政権が高支持率で発足しながら大きな成果を成し遂げられなかったのは中間選挙での敗北にあると
ドナルド・J・トランプ次期アメリカ合衆国大統領を理解しているであろうから
就任から2年間は雇用創出(安倍首相よりも孫正義さんが歓迎された様子)や移民問題に注力するであろうから当面心配は無い(=逆にこの時期が重要)という見通しも興味深かったです。
修羅場をくぐってきた人ならではの迫力
今回は政治のビッグイベントがあったこともあり、前回が質疑応答主体であったことと異なり、
佐藤優先生、鈴木宗男代表のお話しが中心で、日露首脳会談の話題を中心としながら
人の生きざまであったり、在るべき姿を問うお話しであったり、汎用性の高いお話しも聞けたりで
当初予定されていた90分の枠を超過して、お二人の話しに耳を傾けている時間が刺激的でした。
また、閉会後はお二人の先生方と束の間の交流の機会もあり、短いやり取りながら直の対話に感じた心地良さもありました。