鈴木宗男新党大地代表と、元外務省主任分析官佐藤優先生の共著『反省 私たちはなぜ失敗したのか?』を読み始めて
全5章(反省1〜26)あるうちの第2章(〜反省9)まで読み終えたので、そこまでのおさらい。
出版は2007年6月と遡り入手難であったものの、参加回数が重なっている東京大地塾に登壇されているお二人のサイン貰う用に
格好の一冊かなと、購入した一冊。
当事者が述懐する鈴木宗男事件
佐藤優先生が「はじめに」で、
” 同書(註:北方領土「特命交渉」)を作る過程で、日本の政治家と外務官僚の関係について、その構造悪が見えてきた。
具体的には、ポピュリズム型の政治家が相手国との信頼関係を壊し、外務官僚の能力低下と不作為体質が国益をいかに毀損しているかが見えてきた。
しかし、一般論として、実施した政策が間違えていたので国益を毀損した事例は国民にも理解できるが、不作為のために失われた国益は見えにくい。
たとえば、北方四島を日本は実行支配することができていないので、北方四島と周辺海域を武力をもって警備しているロシア国境警備隊と人脈を作り、信頼関係を増して、北方領土で銃撃や拿捕がないように水面下で働きかけることは重要なロビー工作だ。
私たちが現役だった02年初めまでは、このようなロビー工作を外務省も精力的に行っていた。
鈴木宗男氏が逮捕された後、このようなロビー工作をする意欲と能力がある外交官が対ロシア外交から遠ざけられ、ロシア国境警備隊との人脈はなくなっていった。その結果、「第三十一吉進丸」の悲劇が生じたのである。
私と鈴木氏には、まだまだ国民の皆さんに対して語り、反省しなくてはならないことがたくさんあると認識するに至った。
そこで『反省』という表題で、私たちふたりの気持ちを率直に国民に伝えることにした。
政界、外務省、検察庁、アメリカ、イスラエル、イランなどについても、これまでに明らかにしなかった深い事実に踏み込んで話をした。”(p10-11)
と本書が上梓された背景について説明され、本編では
” 佐藤 私たちふたりは検察、正確には東京地方検察庁特別捜査部(東京地検特捜部)のいわゆる「国策捜査」によって逮捕され、刑事被告人として現在、裁判で争っています。
じつをいうと、検察は外務省に利用されたに過ぎない。外務省は、これまで頼りにしていたために恥部を知られすぎた鈴木宗男さんを排除したいと考えた。
しかし、外務官僚自身が鈴木さんと対峙するのは怖いので、検察やマスコミを情報操作して、逮捕への流れを作っていったのです。”(p22)
” 鈴木 田原総一朗さんは、テレビでこう言ってました。「検察が情報をリークする。リークをもとに記事を書いた記者が、スクープを世に出したということで評価され出世する。
そして、世の中で大きな事件になる。すると、リークした担当検事は大きな事件を扱うことで出世する。この構図が問題なんだ」と。
私は、自分でも長いこと「検察は正義だ」と信じていた。しかし、私自身が捕まってみると、検察が一方的に情報を流し始める。
これは嘘だとか、あれは正確ではないとか、誰も裏を取れず、そのまま受けざるを得ない。その情報を相手にしなければ、次の情報は来ないわけですから。
だから私は、拘置所から出たらマスコミを叩こうと思ったけど、出てきて感じたのは、マスメディアの皆さんも、権力側に誘導され、使われてしまった部分があると。
だから、マスコミも被害者だと。この構造が見えたときに、私の心の中からマスコミの皆さんに対する恨みが消え去っていったのです。”(p58)
といった具合、一時、世の中を騒然とさせた事件の真相、構図が当事者の口から語られています。
当事者が語る「あの時」、ことの真相
上述したとおり、本書が世に出てから10年以上の年月が経過しており、変わった部分と、変わっていない部分があるでしょうが、
知られざる闇の部分に触れた思いで、何となく感じてことが明瞭に言葉で説明されていて、
ページを進めてプロセスは重くもありますが、社会の批判に晒され、国家との対峙を強いられたお二人の
得難き体験から得られた反省と教訓に興味深く感じてみたいと思います。