慌ただしい一週を過ごす中、自由民主党時代から辣腕を振るわれ、現在、新党大地代表の立場で多分に存在感を放っている鈴木宗男先生主宰の勉強会「東京大地塾」に参加。
テーマは、元外務省の主任分析官佐藤優さんを招いての日露関係。
冒頭、簡単な鈴木宗男先生の挨拶の後、程なく佐藤優さんから日露関係の最新状況のレクチャー。
千載一遇の機会に正念場を迎えている日露
来月(2016年12月)にロシアのプーチン大統領を招いての日露首脳会談を控え、
北方領土問題に関して中心的役割を果たしていたとされるウリュカエフ経済発展相逮捕という衝撃的な展開は
プーチン&ウリュカエフという領土問題解決に積極的とみられていた陣営に対して、既得権を侵害される勢力からの巻き返しとの見立て。
ロシア全体では日露関係が発展すれば国益に叶う反面、領土を失えば漁業権や北方四島の非軍事化の流れが形成されると、既得権を害される人たちもいる。
ここで日本として大事なことは領土問題に本腰を入れている人たちに対して、如何に手厚い支援体制を敷けるかということ。
この点に、佐藤優さんは外務省の姿勢などに疑問を呈されており、次回の日露首脳会談は領土問題をさせるに千載一遇の機会であるとして
ロシアとしては現状で推移しても何ら問題がないと感じているところ、現状を受け容れられない日本としては矢継ぎ早に提案なり、知恵を授ける必要があると。
切り札はロシアが有していることから、プーチン大統領の提案を丸飲みしてから検討を始めるのも一計。
現在、プーチン大統領に独裁者として振舞ってもらうことで権益を得ている人たちから攻勢で、プーチン大統領の権力基盤が揺らいでいる状況で、日本としては正念場を迎えている。
また一部で、日本からの経済援助が「ロシアに喰い逃げされるのでは?」という見解があるが、全くの見当外れで、
ロシアはODA(政府開発援助)対象国ではないし、一時的に経済が停滞しているにせよ、資源大国であり、機が熟せば再び経済が復活する力を秘めているというのが実態である。
保護主義の台頭で、日本で求められること
また、昨今話題のドナルド・トランプ(アメリカ合衆国)次期大統領に関しては、就任初日にTPP(環太平洋パートナーシップ)離脱表明を行なう見込みであるなど、
佐藤優先生は、世界的に保護主義の傾向が強まることを指摘し、日本でも自己主張の強いリーダーの必要性に説かれていて印象に残りました。
この指摘に関連して興味深かったのは、前回「中間記」をアップロードした青山繁晴さんの『アメリカ・ザ・ゲンバ』で
” 「日本が世界に存在感を示すのはカネの話だけ。それ以外では何をしているのか世界の誰も知らない」のが戦後日本の姿だったが、小泉さんが初めて外交や政治の分野で世界を驚かせた。
だからアメリカ人のようにリーダーにワン・コンセプトだけを求めるのであれば、小泉さんへの見方、評価は変わる。
確かに、小泉さんは複雑な日本社会からすれば「ワン・コンセプトしかない困ったリーダー」となってしまう。
貴乃花に「感動した」と言葉というより叫びだけで呼びかけたように、「接続詞でつなぐことのない、不可思議な日本語しか話せない。」
永遠にこの人がリーダーでは困る。日本はアメリカではないからだ。しかし変革期には、劇薬が必要だ。
それも日本のような古い国を変えるには、その劇薬を短期間だけ使うのではなくて、我慢して長く使い、全身に効かせる必要がある。”(p78-79)
と提言されており、今回の勉強会では小泉純一郎元首相の話題は出なかったものの、
リーダーシップの在りようとして小泉政権時代の再検証に、小泉型リーダーシップが再注目されるように感想を持ちました。
活発に飛んだ質問、盛り上がった質疑応答
冒頭の佐藤優先生の話しは10〜15分程度であったと思いますが、勉強会に割り当てられた時間は90分で、残りは参加者を交えた質疑応答。
テーマに沿って日露関係に関する質問が多かったですが、内容がそれに限定されることなく、
地方活性化であったり、時間ギリギリまでお二方から質問者に対して専門的見地から真摯に回答されていました。
考えるヒント盛りだくさんだった公開勉強会
ということで、上記は全体の一部となりますが、前方には報道機関からの参加者が目立つなど、
新聞紙上などに載らない話しに回答が示され、私自身、日露関係に精通していない人間であるものの
国際情勢最前線、裏話的専門的な見立てなど、多分に知的好奇心を刺激されました。
参加者150名前後の規模であったかと思いますが、閉会後、前方に歩み寄り、参加者と先生方の交流する機会も設けられ、
普段、なかなか得がたいであろう経験をしたことに対する気分の良さから、また機会を捉えて、両先生のお話しに耳を傾け刺激を受けたいと感じました。