鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス元取締役会長が、セブン・イレブン会長、イトーヨーカ堂会長時代に上梓された『商売の創造』を読了。
今月(2022年3月)、「もしかして、鈴木敏文さんにお会い出来るかも・・」と、鞄の中にかつて購入した覚えのあった本書を探し出し仕込んでいたところ
念願叶いサインに写真撮影にも応諾頂けことに気分高揚し、購入からしばしの時を経て読んでみようと本を開いた経緯。
2003年から2022年へ 時の経過を経ながら
本書は、編者 緒方知行さんの「編者解説」によると
“セブン – イレブン・ジャパンの毎週一回行われる「FC会議」で、鈴木敏文氏が社員や幹部たちを前にして話した内容の速記録を題材に私がまとめたものである。”(p202)
というもので、出版されたのが2003年10月に遡るため本書冒頭の「まえがき」に書かれてある
” 世の中の変化は激しいということです。その中でなんとか今日までやってこられたのは、つねに過去の経験を捨て、他人のまねをいっさいせず、仮説・検証にもとづいた自己革新、イノベーションを図りながら、創造的破壊に取り組み続けてきたからだと私は考えています。”(p1)
という通り、二十年近くが経過した時代の流れは否めずも、
” 今日のように物質的に充足し、しかも消費意欲が鈍っている時代には、お客様のほうに具体的な意見はないものです。
むしろ、お客様のほうから作り手・売り手に対し、「なにかいいもの見つけて提案してくれよ」と言わんばかりの状況です。”(p32)
であったり、
” 差別化というのは、自己主張を強くもつということです。自己主張がなく、他の人と横並びでいいという時代は、とうに過去のものになっています。”(p50)
或いは
” 変化対応力をもった人にとっては、変化が大きければ大きいほど、喜ぶべきことといえます。変化こそ、商売のチャンスだからです。”(p83)
と今も変わらぬであろう心構えに、本質に、学びを得られる記述が散見されました。
厳しさの一方、模索され見出される突破口
日ごろ何気なく訪れているコンビニエンスストアであったり、スーパーであったり、
多くの都市でオーバーストアから淘汰の現実も見せつけられる中、如何に消費者、地域生活者の支持を獲得していくべきか、
その舞台裏での従来に捉われない仮設構築に、革新的な方法論に商売の厳しさを改めて感じさせられたのと同時に、自由な思考が試される可能性も感じさせられた著書でした。