先週、読み始めの段階で一旦アップロードした
橘玲さんの国際金融小説『タックスヘイヴン』を読了。
アングラマネーが引き出す人間のダークサイド
表沙汰に出来ないアンダーグランドマネーを運用して話題を集めたファンドマネージャーの死が起こったシンガポールを舞台に、
日本、マレーシアに、スイス、北朝鮮などの思惑も絡み合って展開されるストーリー。
全523ページに及ぶボリュームで、登場人物が相次いで殺害され、また狙われる中で、
事件の引き金を弾いた黒幕が明かされる結末に惹き込まれていきます。
話しの方は、ノンフィクションとフィクションが入り混じり、フィクションの部分でも、この人のモデルは・・なんて勘ぐりたくなりますが(笑)
金融の専門的なことを知らずとも話しにのめり込んでいくことが出来ます。
国際金融小説で感じた非日常
先日参加した橘玲さんの講演会で、
参加者から本作に関しての映画化が質問されており、
橘玲さんが、「TV局にお金のない状況で、舞台が海外となっている時点で・・」といった回答で、
実現の方は難しそうですが、解説を書かれた元外務省主任分析官佐藤優さんによると・・
” 世界はきれい事だけで動いているのではない。スイスの銀行が「透明化」した穴を埋めているのがタックスヘイヴンだ。”
イギリス領のケイマン諸島、バージン諸島といったカリブ海の島国がタックスヘイヴンの代表例だ。
しかし、タックスヘイヴンが可能になるのは、後ろ盾となる国家があるからだ。
大英帝国の目に見えない遺産がタックスヘイヴンを可能にしているのである。
このようなタックスヘイヴンと密接な関係を持つ国家がシンガポールだ(ちなみにシンガポールも大英帝国の植民地だったことがある)。”(p527)
というシンガポールを舞台にした消えた大金を巡り渦巻く人間模様。
普段、フィクションで描かれる世界に触れる機会の少ない自分ながら、しばし刺激的な非日常に誘(いざな)ってもらいました。