放送作家やラジオ番組のパーソナリティなど多方面で活躍されている高田文夫さんの『高田文夫の大衆芸能図鑑』を読了.-
五十九話収録されていながら一話3ページという分量であることもあり
中間記 👆 をアップロードしてから快調に読み進め、中二日で読了。
当初、高田文夫さんと直に交流した人たちとの交遊録と思いきや後半はジェームズ・ディーンや連載中に亡くなられた方々を惜しむ回もあり様々でしたが、
基本、高田文夫さんを通じて、その人の人間性に触れる内容となっており、読んでて心が温まってくるような。
その辺の配慮は、本の冒頭で
” 評論家やネットのように、芸もなくただ悪口だけを書くのは最低です。500人の前に出て2分でもしゃべって、1回でも笑わせてみてごらんなさい。
どれほどたいへんなものかわかります。その時、尊敬も生まれます。
私は好きだとこうして公の場に書いて活字に残し、芸がダメなら直接当人に会って言うだけです。”
一方的にたたかれているだけの芸能人側にも家族がいるのです。ダメを出すなら直接一対一。人のいないところで。それがルールです。”(p3-4)
というもの。
蘇った懐かしのあのとき
本の(中〜)後半で取り上げられているのは、火野正平さん、沢田研二さん、立川志の輔師匠など多彩。
その中から一人取り上げると、故月の家円鏡師匠。
” 升蔵から1965年に月の家円鏡と名乗って真打昇進(82年橘家圓蔵襲名)。
円鏡時代、まさに飛ぶ鳥を落とすとはこの人のこと。テレビ、ラジオ毎日どこかに出ていて寄せも欠かさなかった。
それまでは、噺家がテレビに、ラジオに出ているという感だったのが、この人こそはまさにタレント(才能)。
どこも爆笑に次ぐ爆笑。そのみごとな機転、頓智、アドリブはスピーディーかつ歯切れよかった。
巨泉、談志という時の才人たちがこの面白さをけっして手離さなかった。
もはや伝説ともなったニッポン放送の『談志・円鏡歌謡合戦』(ふたりのあまりにもイリュージョンすぎてナンセンスすぎて訳のわからないシュールな笑いに担当ディレクターは病院送りになった)。
『お笑い頭の体操』ではナンセンスなギャグを連発し、ある意味、頭の回転は巨泉の十倍くらい速かった。
忙しくて寄席に出ると満面の笑みでメガネをかけたままザブトンに座り、「いやぁ〜忙しくて、休む暇がなくって・・・ ちょっとここで休ませて下さい」と高座の座布団で休むという寄席史上初の試みもみせた。
・・中略・・
「おもしろ落語」も多発して、いきなり先に落ちを言ってから噺の筋を進めたり、ある時は、二席同時に喋り出した、あの時はびっくりした。
このアイディア、機転に私はずいぶんと刺激された。
相手を気持ちよくさせる「ヨイショッと」連発しヨイショという幇間(たいこもち)の世界の言葉も、以来市民権を得るようになった。
大喜利も得意として営業で稼ぐだけ稼いで家を建てた。”(p192-193)
とここまでは、何となく「そんな人居たなぁ」と漠然としたシルエットは浮かんでくるものの、名前と顔が一致するまでの感覚に至らず・・
” エバラ焼肉のたれやメガネクリンビューのCM等でも超有名だった。”(p194)
の一文で、声が頭の中でこだまし!「あの人かぁ〜」と。
話しの最後で、
” 2015年10月7日死去。81歳。”(p194)
とあり、「(お亡くなりになられたの)ついこの前のことであったのかぁ」と、
幼少の頃、TVでご活躍されていた姿が本書を通じて蘇り、感慨深かったです。
高田文夫さんが醸す笑いの世界に浸る
全五十九話、253ページに及ぶ高田文夫ワールドで、久々にその世界観を満喫。
文中にしばしば、舞台に上がられて、その場を笑いの渦に巻き込んだ情景が描写されていますが
一冊の本を通じて、文章からその感性、十分伝わってくるもので読み進めていて楽しかったです。
読後、Youtubeで「高田文夫」と検索し、下掲の録音にたどり着き・・
立川談志ゲスト出演、高田文夫のラジオビバリー昼ズ 2010年6月24日
春風亭昇太師匠の軽妙なノリに故立川談志師匠との絡みが相まって、しばし、その雰囲気に浸るなど。