2週間振りで、ノンフィクション作家 大下英治先生の『決定版・田中角栄論』を受講。
3回シリーズの2回目で、
今回のテーマの中心は、政治家の本としては異次元の91万部を売った『日本列島改造論』。
『日本列島改造論』で証明された構想力
現在の田中角栄ブームの中心とも云うべき、石原慎太郎元東京都知事が田中角栄元首相を描いた『天才』の発行部数が、直近で81万部だそうな。
通常、政治家の書いた本が売れることのない中で『日本列島改造論』が如何ほどに注目を集めたかということですが
驚くべきは、昭和47年に上梓された本書の内容が、かなりの確率で現実化しているそうで
高速道路は130%(本を未読であるため100%超の理由は不明)、新幹線で30%の水準に達しているそうな。
総理大臣を賭けて繰り広げられた舞台裏
『日本列島改造論』の話題に至る前には、佐藤栄作元首相が後継(首相)を福田赳夫元首相と考えていた中、如何に形勢を逆転していったか。
また、総理大臣就任後、本腰を据えて取り組んだ日中国交正常化交渉で決裂濃厚の状況下、綱渡りの舞台裏話しなど。
当初、講演100分+質疑応答20分という想定が、ほぼ講演で時間を消化してしまうという大下英治先生の熱の入りようで
田中角栄元首相が未だ日本人の心の中で生き続けているワケに、生々しい人間ドラマに傾聴しているうち、時間が瞬く間に過ぎていきました。
女性関係から紐解ける危機管理能力、人間の器
印象的であったのは、本筋からやや外れたところで、女性との関係、絶妙なる距離感で
田中角栄首相は複数の愛人がいたものの女性とトラブルに発展することはなかったが、
女性でつまづいた政治家は数多いとして、そもそもそういった代議士は危機管理能力が問われ、総理としての資質を欠くものであると。
質問に応じて具体例が上がる中(苦笑)、こういった側面からも田中角栄元首相の非凡さ、人間力が伝わってきました。
今回と前回で、累計180分の田中角栄論に触れたことになりますが、エピソードが続々披露され、その尽きない状況に
「まだ聞いていたい」と存分に感じさせられています。最終回となる次回は失脚の原因となったロッキード事件など。
日本の時代を創った一大政治家物語、シリーズ完結編もまた楽しみです。