突如といった感じでヘッドラインを飾り、スピーディーな展開を見せている(通称)カジノ法案ですが、
そんな頃合いを見計らったのか、単に偶然であったのか・・
高城剛さんの新刊『カジノとIR(統合型リゾート)。日本の未来を決めるのはどっちだっ!?』を読了.-
ご自身も一時、
” カジノで大きな金額を落とすいわゆるハイローラーだった “(p15)
という高城剛さんが、
” IRの成功こそが、2020年以降の日本という小さな島国の経済を再び活性化させるための大きなチャンスであると考えている。
現在、2020年の東京オリンピックが終われば、その先には次の起爆剤として、考えうる材料はひとつもない。”(p11)
という予見に基づき、
第1章 なぜシンガポールは短期間で観光収入を3倍に増やせたのか?
第2章 マニラ急成長の秘密と、マカオ衰退の理由
第3章 世界一のカジノ国フランス
第4章 90年代ラスベガスの成功と、近年のニューヨーク州のラスべカス化戦略
第5章 世界のカジノから日本は何を学び、何を生かすべきなのか?
という目次立て/構成のもと、本の主眼としては日本で実現されるべきIR(統合型リゾート)の在るべき姿について説かれています。
カジノは一端に過ぎない本質とは
本では世界各地での先行事例の長所短所、カジノが誘致されたからといって、
それが地域の活性化策であったり、経済の活性化に直結するものではなく、
そこは各国のいいとこ取りをして2010年と後発ながら成功例といえるシンガポールに大いに学ぶべきであり、
日本が置かれている現状を高城剛さんは
” 現在、IR構想に対し、パチンコ産業の大手やアミューズメント機器メーカーが食い込もうと必死になっているが、
もしもこれを易々と許せば、旧来型のフレームに収まり、社会システムも経済のあり方もこれまでと変わらないまま続いていくだろう。
その上、IRそのものが失敗に終わる可能性が高く、せっかく誘致した地方都市は再生できずに、国民は疲弊し、結果、日本経済は粛々と終息に向かうだろう。
だからこそ、シンガポールは外国資本を呼び込んだのではないだろうか。
これまでの社会のある方とはまったく違う外からの力が入れば、客観性は担保され、旧型の構造やそこに棲みつく黒い利権は淘汰できる。”(p236-237)
警鐘を鳴らし、別の箇所で端的に結論が説明されていますが、
上記一文に本書刊行の経緯に、採るべき進路に対してのメッセージが込められているのであろうと。
未来に対し問われる個人の見解
カジノ法案は、これから実施案の作成にフェーズが移行するようですが、
光が出来れば裏返しで影も出来るわけで、国の在りように、経済的な救世主的な役割も期待されている側面が強く感じられる本法案。
私個人はカジノの是非ではなく、日本人の意識構造の進化が問われた問題と読み取りましたが、
世の中で、これからこの件に対する報道量が増えることは自明の理ですから、
本書のようなIR/カジノ初心者向けに書かれた(と思わしき)手引書、自分にフィットしそうなものを一冊読んでおくと、
自分自身の土台、意見(=単にカジノの是非を問うものではなく)を形作ることができ、
関連ニュースなどに触れる度、考えながら接することが可能になれますから、その視点で役に立つ一冊であるように思いました。