高城剛さんが
” 前編は、ミスコミュニケーションによって東西の「壁」が壊れ、世界がひとつになった1989年から、2019年まで。
ここで、世界は31年ぶりに「分断」の時代を迎える。
後編は、2020年から2049年まで、現在の世界を見て感じた30年後の世界、おそらく再びひとつになる予測を、僕なりの解釈で書き上げた。”(位置 No.201/208)
といった内容で上梓された『分断した世界 逆転するグローバリズムの行方』読了.-
1995年後に迎えた新世界
本を読み始める前は、これまでの高城剛さんの著書らしく近未来にワクワクさせられたり、
これまで伏せられ公にされることのなかった現実が明るみにされる学びといった内容から
サクッと読了に至るものと思いきや・・
実際、読み始めてみると、1989年 「ベルリンの壁」崩壊の真実に始まり、
” 僕は、1995年が世界を大きく変えた「始まりの年」だと考えている。
なぜなら、この年、21世紀まで連なるグローバリーゼーションとデジタル時代の金融システムを一気に進めた三つの出来事が起きているからだ。
まずひとつ目が、「Window95」の登場だ。
ルービン(註:ロバート・ルービン元財務長官)のドル高政策の影響で、ウォール街には大量の資金が集まることになる。海外投資家たちはアメリカの株や債権に積極的に投資を始め、
株価は大幅に上昇し、消費は膨らみ、企業の業績も上向き、財政赤字も大幅削減することになる一方、日本は「失われた時」が続いて行く。
ダブついた資金は行き場を求め、創業間もなく利益もなにもない企業の投資へと向かった。
これにより、アメリカにおける製造業は国家によって見切りをつけられ、「市場中心主義」、僕が言うところの「カジノ資本主義」がはじまることになる。
このルービンの功罪はもうひとつある。当時、最大の貿易赤字国だった日本に高圧的な態度を続け、中国を重視しはじめた。
この時から、「ジャパン・バッシング」と「チャイナ・シフト」がはじまったのだ。”(位置 No./374)
と、現代経済史を丁寧に辿っていくといったアプローチで、その重たさもあり、延べ6日を要することに。
未来の訪れの前に支払われるべきツケ
本書は、
” 現在、まだわれわれは、スマートフォンと高速ワイヤレス回線によるバブル崩壊を迎えていない。
もし、僕の仮説、つまり新しい「魔法の機械」の普及による「情報の爆発」が、人間の欲望による悪巧みを掻き立て、
それがバブルから崩壊へと誘うのが近代史の教えだとしたら、
スマートフォンと高速ワイヤレス回線が地球の隅々まで普及したいま、必ずバブル崩壊が起きるのではないだろうか?
10年前にスマートフォンが登場し、急速に世界中に普及してから、まだ大きな変化は起きていない。
その仮説を確かめに、歴史を自分なりに振り返りながら、およそ1年半かけて世界中を回った。”(位置 No.195)
このことは、
” 最近、AIから自動運転まで、「先の不安」ばかり話し合っているように見えるが、その前に「それまでのツケ」を支払う必要が必ずある。”(位置 No.201)
との見立てにつながっており、穏やかではないですが ーー;
高城剛さんの仮説に基づき、そして全世界的なフィールドワークによって書き上げられた一冊。
今までと辿り着いた現在地、そして迎えるであろう近未来に思いを馳せる上で、インスピレーションを得られる一冊であると思います。