高城剛さんが明かす、大麻が持つ多様なポテンシャルと切り拓かれている新時代:『大麻ビジネス最前線』読了

高城剛さんが、

” 最近の研究によれば、大麻にはがん細胞を縮小させ、認知症やてんかんなどの治療に効果を発揮する成分が含まれているのが、科学的に判明している。

だからこそ、世界保健機関も大麻の扱いに関する記述を書き換える用意をしているのである。

こうした事実を、常にビジネスの好機をうかがっている投資家や事業家が見逃すはずがない。

すでに、アメリカやイギリス、カナタでは、医療用大麻および嗜好品としての大麻を一大産業にすべく準備が急速にはじまった。

このあたらしいムーブメントは、現在「グリーンラッシュ」と呼ばれている。”(位置 No.9)

と、大麻の持つ知られざるポテンシャル、世界各国の解禁状況等を一冊にまとめた

『大麻ビジネス最前線』を読了。

大麻が切り拓く新時代

本書(電子書籍)は

 第1章 2018年大麻の今、未来

 第2章 そもそも、大麻とは

 第3章 世界の大麻新事情

 第4章 ビジネス勝機の可能性

という目次立てのもと、上述の時代の要請に応じて、たとえば・・

” 2010年11月、カリフォルニア州で大麻合法化の住民投票が行われた。

この提案のポイントは、次の3つである。

(1)21歳以上の個人消費目的での大麻所持が合法になる

(2)市や郡は大麻の商業的栽培や販売を認可・課税可能になる

(3)州住民は広さ2・3平方メートルまでの大麻栽培が可能になる

ここで争点になったのは、「マリファナ販売を合法化して課税すれば、同州の税収増につながり、財政難を救えるのか」という点だけだった。

賛成派陣営と反対派陣営の激しい議論は、全米でも大きな話題となった。だが住民投票の結果は、反対53.5%、賛成46.5%となり、否決。

しかし、否決されたものの全米に議論は大きく広がり、大麻の合法化は、「されるかどうか」ではなく、「いつするか」の問題となっていったのである。”(位置 No.212/221)

そして、

” 以前の住民投票からすでに6年が経過している。その間に、コロラド州やワシントン州は大麻を合法化しており、先行していたカリフォルニア州は後塵を拝していた。

隣州の友人たちやニュースで伝えられる合法化された州の情報で、カリフォルニアの住民たちは「合法化は、デメリットよりもメリットの方が大きい」と実感していた。

・・中略・・

そして、住民投票の結果、賛成56.03%、反対43.97%で可決。とうとう、カリフォルニア州で21歳以上の大人に対し、嗜好用大麻の使用が認められたのだ。”(位置 No.232)

と、経済力の大きさから世界的な影響力を持つカリフォルニア州で大麻の門戸が開かれていったプロセスに、

隣国カナダでも

” カナダは、2018年夏に嗜好用大麻を合法化する。これは、先進国で初めてのことであり、今後、カナダではアルコールやタバコと同じように、大麻を成人用の嗜好品として課税管理することになる。”(位置 No.376)

と国レベルでも解禁が進む現実が紹介されています。

そして何より、

” 大麻草の作用は、重い病気となった患者には、必ずしも悪い副作用ではなく、良い主作用となる。

THCが持つ陶酔作用、多幸感、痛みの緩和、吐き気を抑える、けいれん抑制、食欲増進などの多様な効果は、患者に対して直接的に症状を緩和するだけではなく、感情の面でも、前向きに生きる力の源になる。

・・中略・・

一方、健康な人にとっては、アルコールやタバコのような従来の嗜好品にないリラックス感、家族や友人たちとの会話や食事での楽しい場の共有、創造性の発揮に役立つことができるのだ。”(位置 No.405)

或いは

” コロラド州に住む5歳のシャーロット・フィジーは、長い間、てんかんによる大発作に苦しんでいた。・・中略・・

いろんな治療法を試したが、どれもほとんど効果がない。父親のマットは従来の治療法ではなく、代替治療に可能性を見つけようとした。

そんなとき、ドラべ症候群(重度の小児てんかん)の治療におけるCBDオイルの効果を賞賛する動画をネット上に見つけた。”(位置 No.680/No.687)

と高い医学的効果を指摘。

また、

” 大麻にまつわるビジネスは、合法・非合法を合わせると米国では6兆円、世界全体では24兆円にものぼると言われている。”(位置 No.505)

” コロラド州、ワシントン州、オレゴン州の税収はいずれも予想を上回り、合計で5億5,200万ドル(607億2,000万円)を超えたという。

また、合法化が成立したすべての州で大麻関連の逮捕が急落した。さらに、「若者の大麻使用は広がるのではないか」という「合法化反対派」の予想ははずれ、10代の大麻使用は大幅に増加していない。

「大麻を解禁したら、治安が悪化するのではないか」という市民の機体は、大方、良い方向へ裏切られたのだ。

・・中略・・

アメリカのハフィントン・ポストは、大麻市場の急拡大は、以前、世界のスマートフォン市場の成長速度をすでに追い抜いているという見方をした。”(位置 No.622/628)

と、経済的なメリットも強く働く実態にも言及されています。

そして、日本と大麻の現状

一方で日本では、

冒頭「はじめに」で

” 日本において大麻を科学的に研究し、精査した機関は存在しない。なぜなら国内では、大麻取締法によって「研究のための使用」さえも禁じられているからだ。

現在の日本は、「大麻ガラパゴス」と言わざるをえない状況である。”(位置 No.77)

及び巻末「おわりに」で

” 本書に興味を持った日本の大手出版社は皆無であり、その理由も不明なままだった。

これが、日本の現状を物語っており、また、大麻に限らず、日本に閉塞感漂う原因のひとつだと考えざるをえない。”(位置 No.2066)

と記されている通り、

大麻市場において大きく遅れを取り、本書を読みながら感じる(新しい)時代の足音、熱気とは無縁の現状。

私自身も、世界各国の現状をまったく現実のこととして感じられていませんが、

嗜好性はさておいても、医療現場での代替が効かない喫緊性は本書を読みながら強く感じられたことで、

徐々に・・ 段階的に・・ 我々にとって「大麻」が身近な存在になっていくことは時代の趨勢であることは間違いないようです。


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