竹田恒泰さんが思いを込めた日本人のための教科書:『国史教科書』(中学歴史 平成30年度文部科学省検定不合格教科書 )読了

竹田恒泰さんの『国史教科書』こと『中学歴史  平成30年度 文部科学省検定不合格教科書』を読了。

発売当初、自費出版ということもあり早々に入手難となり、定価1,667円(税別)に対し売値数万とプレミアが付き、

紀伊國屋書店新宿本店の「新刊・話題の本」を占拠する本書

紀伊國屋書店新宿本店では1階の新刊コーナーで大々的に扱われるという注目度を集めた著書(教科書)。

読み始める前は「教科書一冊・・」ということで相応の読書時間を想定していましたが、

 第一章 神代・原始

 第二章 古代

 第三章 中世

 第四章 近世

 第五章 近代

 第六章 現代

という主だった構成で、それらが全222ページ(別途、検定審査不合格理由等)にまとめられており、

各時代区分がコンパクト(第一章で20ページ強)な分量で、読みやすく、読了まで時間をさほど要しませんでした。

建国に始まる日本史

本書で私が感じた特徴として、

” 日本の教科書が建国の経緯を書かない理由は、戦争に負けたことが原因である。

GHQがあらゆる出版物に適用した『プレス・コード』も然ることながら、教科書検閲に用いたGHQの『教科書検閲の基準』の影響が大きい。

GHQの同基準に明記された次の五点について、教科書から徹底的に排除したことが現在にまで影響を与えているのである。

・天皇に関する用語

・国家的に拡張に関する用語

・愛国心につながる用語

・日本国の神話の起源や、楠木正成のような英雄および道議的人物としての皇族

・神道や祭祀、神社に関する言及、等々(高橋史朗『検証 戦後教育』広池学園出版部)”(p2)

と冒頭の「刊行に寄せて」に書かれてある通り、自分が学生の頃、始まっていたであろう縄文時代の前に

” 今から約一三〇〇年前の奈良時代、第四十代天武天皇の命令によって二つの文書が編纂されました。

『古事記』と『日本書紀』です。両方を合わせて「記紀」といいます。

『古事記』は日本の神話と日本の国の成り立ちを伝えるため、また『日本書記』は日本の歴史を公式に伝えるために編纂されたと考えられます。”(p32)

しっかり、先土器時代以前、日本建国の頃について言及されていること。

なお、竹田恒泰さんが編纂にあたって留意されたこと(「自虐的歴史用語を排除」など)は、冒頭の「『国史教科書』の特徴」で説明されています。

今日の日本、明治天皇ありて

その他、各時代の史実、流れについては本書の記述に譲りますが、最も印象に残ったところでは

「第五章  近代」の「日本を小国から大国に押し上げた明治天皇」と括られた項目。

” 明治天皇を知っていても「何をした人か?」と問われると、明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。

一言で答えるなら「日本を近代化させ世界の大国に押し上げた偉大な天皇」ということになります。

・・中略・・

天皇は生涯を通じて、立憲君主国の君主としての義務に最も関心をお示しになり、自身の業績や評価などにはまったく無関心でした。

大日本帝国憲法の審議にあたっては、天皇は連日内閣に臨御なさり、熱心に閣議に耳を傾ける毎日をお過ごしになりました。

しかし、一度も御発言はなかったといいます。”(p162)

一文は更に続いていきますが、明治天皇について書かれた箇所は重みを伴って伝わってきて、

先に読了していた上念司さんの『経済で読み解く日本史(明治時代)』でも

<< 2019年6月19日投稿:画像は記事にリンク >> 上念司さんが紐解くお金を斬り口にした日本史:『経済で読み解く日本史(明治時代)』読了

明治天皇が日本史上で果たされた役割の大きさについて認識を改めさせられていただけに、

(明治時代に限定されることなく)日本人の拠りどころ不可分な皇室という実態とともに、よりその思いを強くしました。

教科書化への途

日本建国から平成に至るまで、自虐史観を排し端的に要点を掴めるよう編纂されているのが、本書であると説明出来ると思います。

『国史教科書』の特徴」の中で、まず本書を

” 日本人のための教科書 “(p9)

と定義されているとおり、

全編を通じ日本人であることの矜持といった感覚を刺激され、読みやすさとともに得られる読後感も爽やか(前向き)です。

先日、竹田恒泰さんに声掛けさせて頂いた際、

本書にサインを頂戴した後、竹田恒泰さんと

本書での不合格を踏まえた改訂版の審査手続き中とのことで、教科書に書くべきこと、日本史で伝えたいことの直球度は本書が勝るものと思いますが、

再チャレンジが叶い、竹田恒泰さんの視点を通じての日本史に対して国からのお墨付きが得られますよう、朗報を待ちたいと思います。


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