竹中直人さんのエッセイ50篇を収録した『なんだか今日もダメみたい』を読了。
(2024年)6月下旬に開催された
刊行記念トークショーでサイン本を入手していた経緯。
タイトルの付け方からして「なんとも竹中直人さんらしいなぁ」とニヤリとさせられてしまうエッセイ集本編では
サザンオールスターズの関口和之さんからの声がけから制作された『口笛とウクレレ』の
” ・・・出ない! 口笛が出ない! いくら唇を尖らせても口笛が出ない。でも演奏は始まってしまった。止めるわけにはいかない。ぼくは必死で口笛を吹こうとした。落ち着いて・・・落ち着いて・・・と何度も心に言い聞かせた。でもそう思えば思うほど口笛は出ない。そして最後まで口笛は吹けなかったのだ。”(p22)
完成イベントでの本書タイトルに沿った?トラウマ級の出来事あれば、
” 「竹中さん、見てるよーアートネイチャー! 竹中さん、面白いね!」
「あっ、萩原さん、アデランスですね」(当時ぼくはアデランスのCMをやっていた)
「いや、アートネイチャーだろ?」
・・中略・・
「あ、はい。アートネイチャーです」”(p199)
に、
” すると!「こらっ」「こらっ」とあの声が聞こえてきた! げっ! 松田優作だ! 来る! 松田優作がこっちに来る! で、でかい! ぼくは優作さんに見下ろされた。
「お前なめてんのか??」
「あ、いやなめてません」
「なめてんだろ?」
・・中略・・
「ずっと見てました。愛してます」
えー?! 大きな手なのに柔らかな弾力を感じた。”(p210)
と萩原健一さん、松田優作さんらからの愛されぶり感じる交流録に、中盤には「なぁ」と題された自作のQ&A形式での半生記も読みどころで、約250ページに及ぶ竹中直人ワールドを堪能 ^^
それらの中で、
” ぼくがまだ小学5年生の時、同じクラスの鈴木裕子さんからクリスマス会の誘いを受けた。そんな誘いを受けたことがなかったぼくはとてもうれしかった。「クリスマス会の当日はみんなでプレゼント交換するので、それぞれプレゼントをよろしくお願いいたします。 ・・中略・・
ぼくは何をプレゼントしていいか全く分からなかった。そして母に相談した。すると母は「まかせて」と言ってくれた。
・・中略・・
「行けないよ! こんなんじゃ! こんなのプレゼントじゃないよ!」
その日ぼくはクリスマス会に行かなかった。”(p110-111)
亡きお母さまとの思い出を取り上げた篇は印象的で、喜怒哀楽の怒を抜いた感情をくすぐられた竹中直人さんのイメージに沿うエッセイ集でありました〜