谷川浩司九段の『藤井聡太論 将棋の未来』を読了。
(2021年)6月下旬に聴講した
オンライントークイベントに際し入手していたもの。
その道の達人による藤井聡太論
将棋は駒の動かし方を知る程度の距離感ながら、谷川浩司九段のお名前は承知しており、
藤井聡太二冠が他の棋士と比べて、どのようなことが傑出しているのかを知りたくての読書。
第一章 進化する藤井将棋
第二章 最強棋士の風景
第三章 不動のメンタル
第四章 「将棋の神様」の加護
第五章 「面白い将棋」の秘密
第六章 AI革命を生きる棋士
第七章 混沌の令和将棋
の章立てのもと、読前の期待は、
” いくら強い騎士でも、十七、十八歳の頃までの棋力は「突出して強いところもあるが、まだまだ完成途上」が常識だった。
とくに序盤が粗削りである場合がほとんどで、羽生さんや私もその例外ではなかった。ところが、藤井さんの場合は序盤もほとんど欠点がなく、これといった弱点が見当たらない。
メンタル面やメディア対応、礼儀や言葉遣いも含めて付け入る隙がないと言っていいだろう。”(p14)
に始まり、
” 日本将棋連盟がその年度に功績を残した棋士に与える将棋大賞の選考部門で「升田幸三賞」を受賞した絶妙の一手である。
一見すると、飛車を捨てて歩しか得られない駒損の一手だが、藤井さんは飛を渡しても自分の玉が詰まず、相手の玉を受けなしに追い込めることを完全に読み切っていた。しかも、この局面を数手から十手ほど前から想定していたのである。”(p127)
或いは藤井聡太二冠の棋力に強い影響を持つとされるAIとの関係について、渡辺明永世竜王の
“「将棋は、結局のところ最終盤の力が大きい。いくらAIがすごいといっても、いくら研究を深めても、最後は終盤力がモノを言いますから。
彼の強みとAIは、ほぼ関係ないでしょう。結局のところ、中盤や終盤の力で勝っているわけですから」”(p171)
と先入観を覆される部分有り、異次元ぶりが次から次にといった具合で全200ページ超、十二分に納得=所与の目的に達することが出来ました。
初心者でも分かりやすく
読前、気にしていた盤面が示され、棋譜で読み込んでいく部分が後半一部出てくるものの
全体に影響することなく、将棋をかじったことある程度の私のような初心者でも
藤井聡太二冠の未だかつて存在していなかった異次元の凄みを分かりやすく解説してくれる著書でありました。